▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯議長(内田博長君)ただいまから本日の会議を開きます。
この際、御報告を申し上げます。
監査委員から、令和4年8月の
例月現金出納検査の報告が議長の元に提出されましたが、その報告書は、既に配付している写しのとおりであります。
本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。
なお、一般質問並びに質疑終結の後、議案並びに請願、陳情を委員会に付託いたしたいと思います。
それでは、議案第2号「令和4年度鳥取県
一般会計補正予算(第4号)」から第6号「鳥取県立青谷かみじち史跡公園の設置及び管理に関する条例」まで及び議案第8号「財産の取得(
鳥取空港化学消防車)について」から議案第17号「職員の定年の引上げ等に伴う関係条例の整備に関する条例」までを一括して議題といたします。
これより、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
19番
興治英夫議員
◯19番(興治英夫君)(登壇、拍手)皆さん、おはようございます。質問戦もいよいよ最終日でございます。今日は、大きく2点について知事、教育長と議論したいと思います。
まず大きな1点目として、持続可能な農業・農村対策についてであります。これは5月定例会に続いて、このテーマを取り上げました。その中の1点目として、下水道汚泥の肥料としての活用についてです。
世界的な穀物需要の増加や
エネルギー価格の上昇、ロシアによる
ウクライナ侵略等の影響により、
化学肥料原料の国際価格が大幅に上昇。肥料価格が急騰しています。海外原料に依存している化学肥料を減らし、堆肥等の国内資源を活用することは、現在また将来における必須の課題です。持続可能な
食料システムの構築に向けたみどりの
食料システム戦略においても、化学肥料の使用量を、2030年に20%、2050年に30%減らすという目標が設定されました。
これまで農業分野の畜ふんについては、堆肥化が図られ、またメタン発酵による
バイオマス発電とともに生み出される有機肥料である消化液としても活用されてきました。
化学肥料の原料の入手困難が続く中、国産肥料の材料として、下水道汚泥が注目されるようになりました。下水道汚泥には、リンや窒素など植物の成長に欠かせない栄養素が多く含まれ、発酵させるなどして、肥料になります。国土交通省によると、肥料としての利用は、下水道汚泥全体の約1割にとどまっているようです。
県内の下水道の終末処理は、県が実施している
天神川流域下水道の終末処理場以外は、市町村が担っています。下水道汚泥の活用方法としては、炭化、炭にするということですね、炭化の割合が多く、県の
天神浄化センターや若桜、北栄など幾つかの
浄化センターで堆肥化が図られ、鳥取市の
秋里終末処理場では、焼却場で焼却後、炭や
セメント原料に使う以外に、焼却灰からリンを抽出し
肥料メーカーに販売をしているようです。県内全体で出る下水道汚泥──脱水ケーキと言いますが──年間総量及び肥料として活用されている割合はおよそどれくらいか伺います。
また、肥料として活用する場合も、ほとんどが岡山や兵庫などの県外の
肥料製造業者に委託しており、それぞれの流通ルートで販売され、県内にはあまり還流していないのではないかと思いますが、作られた肥料の流通の実態がどのようなものか伺います。県内の下水道汚泥からより多くの肥料を製造し、県内の農家などで使う県内循環型の仕組みをつくることができればと考えますが、知事の所見を伺います。そのために県の農林水産部、生活環境部、下水道を担当している市町村、
JAグループ、県内の
汚泥処理業者などで協議の場をつくり、課題を抽出、対応策を協議してはどうかと考えます。知事の所見を伺います。
小さな2点目として、農村RMO、
農村型地域運営組織と言いますが、その取組について伺います。
RMOとは、
Region ManagementOrganizationの略であります。中山間地域では、高齢化、人口減少により、
農業生産活動、農地や水路の保全などの機能が弱体化し、見守り、除雪や移動支援などの生活支援が必要です。
議長にお許しを得て議場に配付したペーパーを御覧ください。農林水産省の予算の説明資料でありますけれども、ここにありますように農家、非農家が一緒になって、農業生産や地域資源の活用、生活支援などを複数の集落のまとまりで補完する機能を持った
農村型地域運営組織(農村RMO)づくりが農水省によって提案され、モデルとなるような実証事業などの取組が今年度から支援されています。また、県に対しては、伴走型の支援体制の構築に対して支援されます。
このような取組を成功させるのは、そう容易ではないとは思いますが、人口減少が進む中山間地の農村においては、地域の協働による運営は、避けて通れない課題でもあります。農水省の提唱する農村RMOについて、鳥取県内でも先進地域でモデル的に取り組んで、成功事例をつくり、あわせて課題等を抽出、検証、横展開を図ることができればと思いますが、知事の所見を伺います。
大きな2点目として、
デジタル社会への変化に対応した人材育成についてです。
先日、
デジタル社会への変化、働く人の
リスキリングを取り上げた
NHKスペシャル「“中流危機”を越えて」という番組を見て、少し驚きました。少し長くなりますけれども、番組の内容を紹介したいと思います。御覧になった方もこの議場にいらっしゃるかもしれません。
リスキリングとは、今持っているスキルの向上、
スキルアップではなく、新たな職業能力、スキルを取得することです。
番組では、ドイツの取組が紹介されました。国を挙げて
リスキリングに取り組み、デジタル技術を駆使した
イノベーションを次々生み出し、労働者の賃金の向上にもつなげています。木製黒板を作る会社が従業員の
リスキリングを経て電子黒板を作る会社に変わり、
オンライン授業にも活用されていました。また、長年警備員をしていた男性が3
Dプリンターの技術を学び、
工業用ロボットのオペレーターを目指していました。30年間、
自動車部品製造工場でブレーキの品質管理をしてきた男性。去年工場閉鎖で解雇。
公共職業訓練で
ビッグデータの分析と
プログラミング言語を学び、今年7月にIT・
プログラミングの会社に再就職。賃金アップにつながる見込みとのことです。
ドイツ政府は2013年、製造業の大改革に着手し、生産工程などの
デジタル化を進めました。一方、急速な
デジタル化は、製造業で働く人に失業のおそれを抱かせました。組合員数200万人を超える製造業の
産業別労働組合は、
デジタル化により
ビジネスモデルは完全に変わってしまうと、企業と政府に労働者が新しい訓練を受ける権利を要求。それを受けて、ドイツ政府は法律を改正し、企業内で
リスキリングを積極的に推進するようにしました。
2019年、政労使の三者協議により、
国家継続訓練戦略会議が設置され、将来を見据えた戦略的議論を始めました。ドイツは、産業構造の転換に大きくかじを切り、労働者の
リスキリングにより、従来型産業から成長産業への労働移動を後押しする方向に。ドイツ政府の
テクノロジー諮問機関は、誰もが平等に訓練を受けられることが大切。そのために、企業、労働組合、政府が協力する必要があると訴えていました。
番組に出演していた大学教授は、ヨーロッパは、家賃に対する住宅補助や家族手当などが充実しており、失業中でも安心して教育訓練を受けることができる。こういった政策を体系的にやる必要もある。中小企業の女性社長は、経営者の意識改革がまず必要。その先に
イノベーションや成長が見えてきて、中小企業の底上げにつながる。中小企業では、
リスキリングの概念は浸透していない。労働組合の連合の副会長は、円滑な労働移動でないといけない。変化が地域経済や雇用にマイナスの影響を与えないよう、政労使三者で合意形成が必要とのことでした。同じ製造業に強みがある国ですが、
デジタルトランスフォーメーションを実行するドイツと、それに後れを取っている日本のギャップに驚きました。
日本政府の
デジタル人材の育成方針は、2022年度からの5年間で政府の各種施策を通じて230万人を確保する。そのため、大学における高度人材の育成とともに、
デジタルトランスフォーメーション等成長分野を中心とした就職・転職支援のための
リカレント教育の推進。また、在職就業者を対象にした
キャリアアップを目的とした
リスキリングなどとなっています。
日本でも後ればせながら、社会の急速な
デジタル化が図られようとしています。番組の中でも言われていたのは、日本が今までどおりの物づくりだけでは、世界でもうけることができなくなっている。国内の賃金が増えない構造からの脱却のためにも、
デジタル化には取り組んでいかなくてはならないということです。この急速な
デジタル化の動きについて、知事はどのように評価をしておられるか、伺います。
番組でもあったように、中小企業においては、
デジタル化は容易ではないと思います。ただ、それぞれの企業に合った
デジタル化は恐らく必要で、
デジタル化が進んだ企業と進んでいない企業で大きく差ができてしまうのではないかと危惧します。それが県外企業と県内企業との差となれば、県内経済や地域社会に与える影響は大きいと感じます。県内における、また県内企業を対象とした
デジタル化をどのように進めていかれるのか、知事の所見を伺います。特に、就業者を対象にした
デジタル分野の
リスキリングや、失業者・非
正規雇用労働者を対象にしたデジタル・IT関連の能力開発は、県も担当する分野だと思います。この5年間でどのように取り組むのか、知事に伺います。
これから大学等に進学したり社会に出ていこうとする高校生にとって、
デジタル社会へ適応するための資質を身につけることは大切です。また、大学などを経た後に、
デジタル社会を引っ張っていく高度人材や企業の中などで
デジタル化を進めていけるような人材を育成することも必要と思います。県内高校で向こう5年間程度をめどに、どのように将来的な
デジタル人材を育成していくお考えか、教育長の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)興治議員の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、持続可能な農業につきまして何点かお尋ねがございました。
一つは、下水道汚泥を活用したらどうかという観点から、その総量や肥料化はどのぐらいか等々のお話がありました。
これにつきましては現在の数字としては、公共下水で出ています汚泥、年間約2万6,000トンございます。そのうちの4,600トン余りが
コンポスト肥料になっていまして、17%程度ということでございます。大体6分の1ぐらいというあんばいかと思います。
それが県内のほうではどういう製造の状況かということでありますが、こうした汚泥につきましては基本的には100%リサイクルされていると考えて結構なのですが、その上で県外のほうに出るときは、これは一つは兵庫県の加古川、あともう一つは倉吉のお隣の真庭、岡山県ですね、こちらのほうの事業者に出ているのが本県の実情であります。
この流通状況はということなのですが、加古川のほうに出たのは現地で使われております。岡山のほうの真庭のほうは、
クリーン発酵という会社なのですが、あちこちに事業所がありまして、そちらのほうで主として岡山県内で販売をされています。
ただ、琴浦に実は事業所を持っておられまして、その関係から琴浦で
ブロッコリーの栽培に主に充てていますが、無料で配付をしているそうです。言わば実証的にやっているのではないかと思います。いずれは鳥取県内で販売展開を考えておられるのかも分かりません。今は試供品のような形で現実に、若干ですけれども、琴浦の
ブロッコリー栽培等に使われている、そうした実情であります。
これはこれなのですけれども、度々議場でよく取り上げられるのは、こうしたものなどを活用したり、あるいは食品残渣を活用しまして
かんとりースーパー大国という、これは
因幡環境整備さんが作っておられる肥料がございます。これは県内で流通しておりますし、あと鳥取市の
環境事業公社のほうでも、集落排水の関係とか、し尿処理、食品残渣、こういうものを合わせまして、土姫という商品名で売られています。
ただ、これらはあまりJAの系統の中で大々的に使われているということではなくて、どちらかというと家庭菜園だとか、花壇だとか、そうした個人利用で使われているというのが主であります。
かんとりースーパー大国とか、もちろん農業用に使えるのもあるのだと思うのですが、系統立った使われ方がしていないということで御理解いただければと思います。
ですから議員がおっしゃるように、ここは一つのチャレンジすべき分野がまだあるのだろうと思います。そういう意味で類似した話として、JAのほうでは堆肥を集めているわけです。
JA鳥取中央もそうですし、JA鳥取いなば、そうしたところで集められた堆肥を活用したり、それからまたそこに一般の肥料などを配合したりして、それで何とかやっていくほうがいいのではないかという御意見もありまして、今みどりの
食料システムの戦略をみんなで議論していますが、そういう中でそういう現実的な手法ということも議論されています。
いずれにいたしましても、こういう下水の汚泥の活用等のいろんな選択肢はあり得るわけだろうと思います。片方でみどりの
食料システムを我々として目指していくという考え方の中で、県はもちろんですが、市町村だとか、あるいは
JAグループだとか、それからそうしたことが処理可能な業者などいろいろと知見を集めて、今後どういう方向性が出てくるのか議論に値するというふうに思っております。主としてこのみどりの
食料システムの中で議論するフィールドをつくられていますので、こういうところを中心にして出口を探していくということかなと思っております。
次に、農村RMOにつきましてお話がございました。
これにつきましては、農家とか非農家とかが一体となりまして複数の集落にまたがって様々な活動をしようということであります。それは農用地の保全ということも当然ありますけれども、それ以外に環境、地域資源の活用であるとか、地域における生活の支援であるとか、そうしたものを多面的にやっていこうと、こういう考え方でつくられているわけでありまして、
Region Management Organizationの略語としてRMOという考え方を農林水産省が今提言しているということであります。
これにつきましては高知県などでも先進的な事例として言われるものも出てきておりますが、やっておられることは、集落の中で言わばむらづくりの協議会をつくるわけですね。そこにいろんな部門が中でセットされてくると。地域の中での交流事業であるとか、また農地の保全であるとか、そうした様々なものがあって、それぞれに皆さんで活動して集落を超えたある程度広い活動をしようということであります。
ここまでお話しすれば御理解いただけると思うのですが、実は本県でもそういうのはもう走り始めているというふうに見るべきなのだろうと思うのです。例えば倉吉の四王寺でも営農組合がありますが、直接支払の関係もありまして
地区資源保存会というものができて、そういう地域の保全活動等を、農地の保全等をされるということがありますし、そういうところで例えばみんなでレンゲを植えてみるとか、いろんな交流を兼ねた活動ということもなされているわけであります。そこで地域の行事をやってみたり、もちろん土地改良区も絡んでみたり、実は同じ一つのエリアの中でこうしたいろいろな活動が有機的に組み合わさって行われている事例というのは県内でも認められるわけですね。
ですから、そうした活動をベースにして考えていけば、うちとしても当然白羽の矢が立ってもおかしくない地域はいろいろあると思っています。まだ実はこのRMOというものがあまり知られていないと思うのですね。正直そんなに農林水産省でやたら助成してくれるわけでもなくて、組織化に向けたそういう事業支援とか、それからあとは直接支払等の配分などということでございますので、びっくりするほどこれでよくなるというわけではないでしょうが、ただ、そうした興味を持っていただいたり、そこに挑戦して、みんなでまた改めてそういうRMOというタイトルを取って絆を深めようという地域はあると思いますので、いろいろと御紹介をさせていただきながら取組の幅を本県の中でも増やしていければというふうに考えております。
次に、
デジタル社会につきまして何点かお尋ねがございました。急速な
デジタル化の動き、こういう中で県内企業等の
デジタル化をどういうふうに進めていくのか、さらに
デジタル分野での
リスキリングを進めて、失業者や非正規雇用の労働者等も対象にした能力形成を今後どういうふうに進めていくのかと、こういうお尋ねでございます。
議員のほうからは、NHKの番組に即してドイツの事例を御紹介いただきました。実は同じようなこの
デジタル化のチャレンジ、あるいは
デジタル田園都市国家構想、こうしたもので我が国も最優先課題に今上がってきているわけであります。そういう中で議員がおっしゃるような、そうした企業の
デジタル化による計画を実現していくことは重要でありますし、そのために
リスキリングも活用しながら
デジタル人材を増やして、企業の生産能力、付加価値を上げていく、こういうようにつなげていくのが私たちの課題として急浮上してきているということだろうと思います。
この
デジタル化につきましては、新しい資本主義の
グランドデザインの中でも
デジタル化は取り上げられているわけでありまして、一つは、
デジタル人材を育成していく、それに投資していくということを政府は標榜していますし、また様々なそのためのインフラの整備であるとか、
デジタル田園都市国家構想をはじめとした活用、この考え方としては、地方における企業においてもそういう
デジタル化ということを投入することによって生産力を上げて、雇用の受皿になり得ると、むしろ伸び代は地方のほうにあるのだというようなことを考えているわけであります。こうして
デジタルトランスフォーメーションというのをやっていこうというのが今の政府の考え方であります。
10月3日に国会のほうの論陣も開かれまして、早速、岸田総理が
施政方針演説、所信表明をされたところであります。その中でも
デジタル人材への投資等も含めた大規模な政策をこれから出していくという話がありました。それでその
デジタル人材の育成につきまして来年の6月を目途にして政策のパッケージを取りまとめると、こういうように言っています。その中には恐らく大学等の活用であるとか、地方における
デジタル人材の育成等があるだろうと思います。
この
デジタル化につきましては、本県も実は従来から取り組んできて、最近もそうしたデジタルを取り入れた経営改革を後押ししようということをやっているわけでございます。
例えば倉吉のほうにもグッドスマイルカンパニーの楽月工場というのがあります。フィギュア、人形を作るわけでありますが、その人形の一番肝になるというか、大事なのは実は顔なのだそうです。その顔がぐっとくるかどうかということですね。この辺は言わば個人の力量によるところがあって、例えば印刷が、あれは実は印刷をしているので、印刷がずれていないかということを見たり、また表情だとか、それが例えばかわいいというふうに見た人に感動を与えるようなものかどうか、この辺は本当に微妙なことでありまして、それを熟練したそういう工員の方々が見て、それで最終的にはこれを製品化するということなのですが、ここが非常に厄介なのだそうです。
ここにAIを入れて、印刷のずれとか、かわいいというふうに言ってもらえそうかとか、そういうところのポイントをぜひAIでやってみようということで実は今取りかかっていまして、私どももそれを事業として支援をしているということです。これによって省力化が図られたり、新しいビジネスにつながるかもしれない。ただ、なかなかかわいいというのは難しいみたいで、まだ完全には成功していないみたいです。ですからこういうことを今例えばやっている。
あるいは大山のほうにある
片木アルミニューム製作所という会社がございます。これは割と古くから県に進出したところでありますが、このアルミの薄板を切るのにいろんな刃があるわけですね。その刃を対象に応じて、素材に応じて使い分けるわけですが、その刃の交換作業というのが実はちょっと危ないですし、非常に難しいのだそうです。手間もかかる。ここをロボット化できないかということを考えられまして、これを米子にあります私どもの
産業技術センターの施設を通じまして、
ロボットハブで実装化の支援をするということを例えば今やったりしているわけです。
こういうIT等の技術を使って
システム管理のほうに結びつけて付加価値を上げるということもあり、例えば
セントパレスさん、ホテルのほうでもこういうものを我々のほうでも応援をして導入をしてもらったり、それから中海テレビさんなどには、ちょっと前になりますけれども、これもそうした先進技術、ICT化を活用しまして、それぞれの電力のリモートのメーターを活用して、今、要はFIT価格が下がってきて、自分で使ったりとかいろいろありますが、そういうふうに転換してきている中で、個人の電力管理のプラットフォームを実現するという事業を鳥取県のほうからモデル事業として応援をしてやってきたこともございます。こうしたことなどいろいろと今までも例があります。
こういうようなことが、議員がおっしゃったようにドイツで見られた例がありましたけれども、今までの旧態依然たる仕事のやり方が変わることで生産能力は上がり、付加価値が上がり、あるいは別分野に進出するということにもつながってくるわけでありまして、こういうのがいろんな企業さんで活用されることを我々としても目指していかなければいけないと思います。
そういう意味で人材育成については、私どものほうでも
産業人材育成センターのほうで昨年度からこうしたデジタルにつきましての
ネットビジネス科という研修の科目をつくりまして、
ネットビジネス科がスタートし、当然こういうところで失業された方等々の技術指導ということが始まっていますし、また求職者向けのICTの活用講座、人材育成ということもやり、こういうものでエンジニアの育成とかというようなことも始めていたり、こうしたいろいろな事業を今進めているところであります。
また、今コロナということもありまして、在職しながらリモートでこうした研修をメニューの中から選んで受講するというUdemyというシステムを導入いたしております。県のほうで今これを導入して、昨年度の実績からいいますと、企業の中で在職して企業内研修に活用されたのが100名いらっしゃいますし、離職された等で求職をされている方40名程度が受講されて、そのうちの半分が就職をされました。こういうように非常に有効な講座とも言えるかと思いますし、ある
意味リモートなので、手軽に入っていただけるのではないかと思います。
こうしたいろいろ今までもやってきているところがありますが、ここに恐らく政府が来年の6月を目指して、新しい体系的なIT人材の育成をこれから予算編成も含めてやっていくというふうに宣言をされておられますので、それを我々も横にらみしながら対応していきたいなと思っております。政府は、今100万人と言われる
デジタル人材を330万人にこれから5年間で増やしていこうと言っています。それに向けた政策等のツールも出てくると思いますので、そうした国の動きもよくフォローしながら、当然県独自の対策も含めて新年度予算、それからそれ以降に向けましてこの分野の強化を重点的に図っていきたいと思います。
◯議長(内田博長君)足羽教育長
◯教育委員会教育長(足羽英樹君)興治議員の一般質問にお答えを申し上げます。
デジタル人材の育成という点で、高校現場でどのように育成を図っていくのかというお尋ねをいただきました。
議員御指摘のとおり、急速に
デジタル化が進行している今日にあって、また今後一層その拍車がかかっていくであろう社会の中で、そうした社会に対応していける人材を高校段階から育成していくということは本当に必要不可欠なことであろうというふうに思っております。
今回御質問いただいて、改めて
デジタル人材というのはどんな人材育成を図ることなのだろうというのを考えてみました。IT人材という言葉もございますが、アプリだったり、ウェブサイトを開発する、そうしたエンジニア的な部分、あるいは
プログラミングといった技術だけではなくて、この
デジタル人材というのはデジタル技術をもちろん駆使しながら、新たな価値を生み出し、提案、そして社会を変えていくのに貢献できる人材だというふうに私自身も改めて確認をしたところでございます。
そういう意味では、この4月、今年度から高校でも新しい学習指導要領がスタートいたしました。これまでも学習の中に情報科目はあったわけですが、新たに情報のIという、より
プログラミングであるとか、データサイエンスに関する知識や技術、さらにはそれを応用した社会への提言といったような内容を盛り込んだ、1段、2段高度化した内容が学習指導要領にも盛り込まれて、今年度入学生からその学習がスタートしたところでございます。全ての高校生がこの情報Iを学習します。
そういう意味では、先ほど知事のほうも申されましたが、社会に出てからのこうしたデジタルへの対応ということの前段がもう高校でもスタートしているというふうに言っていいのかもしれないなというふうに思っております。
また、専門高校でも特に鳥取湖陵高校に唯一情報学科がございますが、今春卒業された橋本君という生徒さんが難関である応用情報技術者試験という国家試験に現役中に合格をされました。将来の夢はゲームプログラマーだというふうに堂々と語り、自分の夢に向けて新たな一歩を踏み出されているところでございます。この情報学科では、普通科とは違うコンピューターシステムでありますとか、コンピューターグラフィックといったより専門性の高い人材育成に向けた取組を進めているところでございます。
さらに今年度からは工業高校で、鳥取工業の生徒が12名、米子工業高校の生徒が7名、19名ですが、工業の物づくり人材とAI技術を駆使した、これを組み合わせた開発者を目指したスーパー工業士の認定制度を知事部局のほうとも協力を仰ぎながらスタートさせたところでございます。
今後、人口減少ですとか、Society5.0、大きく大きく社会が変革していく中で、この鳥取で学ぶ高校生にもそうした様々な変革に柔軟に対応できる力をつけていっていただきたいと思っております。その一つがこの
デジタル人材分野ではなかろうかと思いますので、そうしたこれまでの学習に加えて専門高校を中心とした取組を進める中で人材育成の基盤、基礎をしっかりと固めてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)19番興治議員
◯19番(興治英夫君)まず持続可能な農業・農村の関係で、下水道汚泥の肥料としての活用についてであります。
先ほど知事の答弁で、チャレンジすべき分野がまだあるということ、いろいろ知見を集めてどういう方向性が出るのか考えていく、みどりの
食料システム戦略の中で議論をし、出口を探していくというお話で、それはそれでいいのかなと思いますが、ちょっと先進事例について御紹介をさせていただき、知事のお考えを聞きたいと思います。
佐賀県佐賀市で、下水道汚泥由来肥料を利用した地域循環型の施肥体系をつくり、肥料の地産地消を実現している事例があります。
皆さんのお手元に佐賀市上下水道局下水
浄化センターのパンフレットを配付させていただきました。下水道汚泥を肥料にする工程でYM菌を混ぜ、90度C以上の高温発酵を繰り返すことにより、雑草種子や病原菌が死滅するため良質な肥料になるようです。
このYM菌というのは、平成7年にこの菌体が同定(特定)されて、国の機関であります独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託された細菌群で、高度好熱性、熱を好む、好熱性細菌株と同定分離されているようです。また、下水汚泥を原料に使用しているので、コストが削減でき、価格を安く抑えられるメリットもあります。
パンフレットの裏面を御覧ください。そこにありますように、10キログラム20円、1キロ2円ですね。350キロ800円、これは軽トラに積めるだけの量ですけれども、800円ということで、相当安いです。かつ重金属の分析結果もそこに書いてありますように、肥料取締法第3条に基づく公定規格の範囲内であります。
そして、そこには資料を出していませんけれども、農林水産省のホームページの中に令和3年度の未利用資源肥料の活用促進調査委託事業の紹介が出ていまして、この佐賀市の事例についての研究、検討がされていますけれども、それによると高度化成肥料に比べて同じ量の窒素を農地にまいた場合に80%以上のコスト減になるとそのホームページでは報告をされていました。
この佐賀市上下水道局の取組なども参考にして、鳥取県でも研究、検討してはどうかと思いますが、知事の所見を伺います。
それともう1点、下水道汚泥の肥料化の課題としては、下水道由来肥料の臭い、臭気対策と、窒素、リン、カリのうち、下水処理の過程でカリが水に溶けるため、カリ含有量が低い点があります。対策としては、竹の粉を混ぜることで臭いを減らし、竹や間伐材の焼却灰にはカリが豊富に含まれているので、それを活用することによって、窒素、リン酸、カリのバランスのよい施肥効果が期待できます。これが実行できれば、県内の竹林対策にも役立てることができるかもしれません。
県内で木質
バイオマス発電所が増えており、県内の間伐材なども燃料として活用されていますが、そこで発生した木質燃焼灰を肥料原料として活用することができないだろうかと考えます。肥料用カリウムはほぼ100%輸入に依存をしていますが、木質燃焼灰は、カリウムの濃度が高く、肥料原料として利用できる可能性があります。大林組や兵庫県にあります木質バイオマスプラントの大手、タクマという企業がありますけれども、カリウム肥料にする技術を開発し、商品化を図っているとの報道もありました。現在は、木質
バイオマス発電所の燃焼灰の多くが産業廃棄物として埋立処分されたり、
セメント原料として活用されたりしているのではないかと思います。調べてみますと、鳥取県内では、県内企業が木質燃焼灰を使って、盛土材や路盤改良材を製造、商品化していると聞きました。
リサイクル活用として、すばらしい取組だと思いますが、この燃焼灰を肥料原料に活用すれば、処分費を削減できたり、あるいは下水道汚泥由来肥料では少ないカリウムを安定的に確保できることにもつながるのではないかと思います。これらの活用についても関係者と検討、協議し、必要な支援を行ってはどうかと思いますが、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて肥料につきましてお尋ねがございました。
詳細は農林水産部長のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、佐賀市の事例もよく工夫をされていますし、何より単価的に使いやすい単価にも仕上がっていまして、非常に魅力的なものかなというふうに今お聞きしていて思いました。
実は下水道汚泥の場合、ちょっと課題があるのは、先ほど重金属の話がありましたが、それが濃縮されるのではないかということが不安感としてありまして、それが多分農家の心情としてはなかなか抵抗感があるのかなと思います。先ほどのようにそれは基準内であるということがよく周知をされれば、また変わってくるのかもしれません。
また、あわせまして、カリウムがやはり溶け出してしまう、水溶性があるので、それが失われるということで大切な肥料の構成要素が抜けてしまうということがあります。それから臭気の問題もあるのですが、そういう意味ではよく工夫をされているのではないかなと思います。
竹のチップの活用ということもありますし、それから
バイオマス発電の焼却灰ということも考えられようかと思いますが、
バイオマス発電の焼却灰については盛土等で今リユースされるという状況がございますが、どういうふうにうまく整合性を持って投入できるのか。最終的にはカリウムを補うという意味なのですが、それが樹種によってちょっと違いがあったり、あんばいがまだ難しいところもあるのではないかという、そういう見方もあります。
詳細は農林水産部長からお答えを申し上げたいと思いますが、よくそうした先進事例であるとか、科学的な最近の知見であるとか、実際に構成要素を提供できるような下水や、あるいは
バイオマス発電など、そうした多方面からの状況の聞き取りをさせていただいたりして、みどりの
食料システムを考える中で取捨選択あるいは工夫をして、もし割と単価が低くて皆さんが安心できるものができるのであれば県としても応援をしながら、商品化といいますか、実用化ができるのではないかなと思っております。
現状、今特に有力視されているのは、
JAグループのほうで堆肥の有効活用が必要ではないかということもありまして、その堆肥をベースにしながら他の肥料も組み合わせてやろうと。これについては来年度から実証研究に入れるのではないかというふうに今関係者間で話が進みつつあります。
いずれにいたしましても、様々な工夫をしながらみどりの
食料システムというものの進捗を図っていきたいと思います。
◯議長(内田博長君)西尾農林水産部長
◯農林水産部長(西尾博之君)汚泥肥料の活用でありますとか、木質燃焼灰の肥料原料としての活用につきまして補足の答弁をさせていただきたいというふうに思います。
議員のほうから御紹介のありました佐賀市の取組、先進的な取組だというふうに思いますので、JAの皆さん等に御紹介をして、御意見等を伺ってみたいかなというふうに思います。
総体的には、知事のほうからも少しありましたけれども、汚泥肥料は化成肥料と比べると、もともと窒素であるとか、リン酸、カリは特に低いのですけれども、含有量が低いと。数%台というところがあります。化成肥料と比べると10分の1ぐらいの開きがあるというところです。したがいまして、当然散布量を多くしなければ化成肥料と同等には使えないというようなところもあって、散布労力が大きくなるなというところを懸念される声は多いかなというふうに思っております。
また、重金属のことについても御紹介がありましたように基準値以下というところもあるのですけれども、時期によってだったり、原料の組成によってだったり、若干の振れがあるというのもまた事実というところもあって、心理的なものだと思いますけれども、生産者の皆さんの中には若干の抵抗感があるのかなというふうにも思っております。
また、木質燃焼灰でございますけれども、これについてはよく研究してみたいなというふうに思っております。カリ分の少ない汚泥肥料に木質燃焼灰を加えることでバランスの取れた肥料化が図れるのではないかというところは理屈としては理解できるところでございます。ただ、大手ゼネコンの研究報告などを見てみますと、燃やす樹種であるとか、燃焼方法によったりして、ある場所での燃焼灰はカリ成分が18%もあるのに、また別の場所での発電所では1.5%程度にまで落ちてしまうと。どうしても天然物ですので、振れができてしまうというところがあるのだろうというふうに思います。その研究報告の中でも、肥料利用だけで燃焼灰を利用するというのは容易ではないと。土木資材などに活用することも含めて考えなければいけないのではないかというような結論づけがなされているというふうにも伺っております。
いずれにしましても、もともとの由来がそういうところでございますので、振れがあるのはある程度容認した上で利用場面を探っていくということなのだろうというふうに思います。当然肥料化するには施設整備等もかかってまいりますし、その投資でありますとか、その施設のランニングコスト、それから採算性、何よりも農家にとって使いやすい資材となり得るのかどうかというところをよくよく検証してみないといけないのかなというふうに思っております。
冒頭もありましたけれども、みどりの
食料システム戦略基本計画を立ち上げ検討するに当たって、戦略会議を立ち上げておりますので、その中で皆さんに御紹介あるいは議論をしてまいりたいというふうに思います。
◯議長(内田博長君)19番興治議員
◯19番(興治英夫君)分かりました。ぜひ御検討をいただき、またJA等と議論を深めていただけたらなと思います。
今、知事、部長がおっしゃるように、農家にとって使えるのか、使い勝手がいいのか、そういったところがやはりポイントになってくると思いますので、私も農家の幾つかの声を聞いてみましたけれども、やはり肥料は非常に高いと。特に稲を作っている農家の皆さんよりも、梨とかそういうものに肥料が多分にかかる。なかなか大変だという話も伺いました。安く使えて安心だということであればぜひ使ってみたいという声もありましたので、その辺をぜひ考慮に入れて御検討を進めていただきたいと思います。
ちなみにさっき配っておりました肥料成分のところを見ていただくと、例えば窒素が2.9%、これは恐らく化成肥料の5分の1程度ではないかと思うのですね。リン酸4.9%、これが3分の1。カリがやはりすごく、10分の1以上少ないということがあると思います。だからカリを補うということと、あとさっき申し上げたように窒素を同じ量畑にまけば8割方安くなるというようなデータもありますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、農村RMOの取組についてでございます。
先ほど知事がおっしゃったように、鳥取県内でも特にこの事業を活用したりしなくてももう既に取組ができているのではないかというところはもちろんあると思います。ただ、そうではないところもいっぱいあると思いますので、せっかく国が取り組み始めたということがありますので、この機に鳥取県内でさらに増やしていくというスタンスで取り組んでいただけたらなと思います。
八頭町の八頭船岡農場やふなおか共生の里において、オーガニックビレッジづくり、里地里山の保全、農場と森林組合の連携、生協と一緒になった生活支援拠点、そして全ての地域資源の利活用とオープン化、それを支援するJAや行政等の連携などの構想があります。その取組を推進する組織は、農水省が打ち出している農村RMOに近い運営になりそうだという話を聞きました。直ちに進むわけではないのかもしれませんが、県内で横展開するための成功モデルづくりとして八頭船岡農場とふなおか共生の里の取組に県も関心を寄せ、話し合ってみてはどうかと思いますが、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねてのお尋ねがございました。
肥料につきましては、先ほど申しましたようによく関係者とも議論を進めてまいりたいと思います。
八頭船岡農場は、非常に興味深い活動、全国でもモデルになるような活動をしておられます。八頭船岡農場さん自体、256ヘクタール、4集落にわたりまして、これは旧船岡町の3分の2を超えるような大変に広いエリアでございます。それをまとめて鎌谷さんをはじめ切り盛りしていただいたのが平成21年から進めてきたものでありまして、多分全県的に見ても一番大きな規模感でやっておられるわけです。
ここに私ども共生の里という考え方をやってみないかというお話をさせていただいて、関係者で寄り集まられまして、ぜひやろうと。その共生の里の第2号だったと思います。私も最初の調印式からお伺いをいたしておりますが、例えば森林関係とか、生協さんだとか、様々な事業者や地域組織が一緒になりまして共生の里をつくって、例えば活動としても、志子部というちょっと奥まったところにある集落でありますが、こうしたところでせいきょう農園というのをつくられて、そこで交流をされながら、あわせて、竹林対策としてですね、この付近で取れますタケノコの商品化もして、生協グループで販売をされるようになったり、いろいろと実利も出てきていると思います。
これは一つの旧船岡町をまとめるようなものでありまして、ここには平賀さんというもともと志子部に入っていた人ですけれども、地域づくりの支援員をされていた方が、今そうしたコーディネーターとして今度は立場を変えて八頭町のパートナーとして入っておられまして、こういうような活動というのは非常に全県的にもあまりないところだと思います。
さらに今、地域づくりの協同組合を検討されているそうでありまして、これも近々スタートするのではないかと思いますが、県もその支援事業はございますので、今支援を始めているというところであります。
こういう意味で先ほどのRMOでやっている農地の保全だとか、地域での交流であるとか、様々な事業というのは実はもうされているわけでありまして、RMOの適性はあるのではないかと思います。関係者の御意思というのはなければいけませんので、関係者の方とも相談をさせていただきまして、農林省が言わば認定するようなRMOとして登録をされるのかどうか協議をさせていただければと思っておりますし、これについての県としての支援も今もそうした集落協定だとか、さらに共生の里づくりとして我々も今支援に入っていますが、そうしたものをさらに充実をさせていき、横展開を全県的にもしていくモデルになればなと考えております。
◯議長(内田博長君)19番興治議員
◯19番(興治英夫君)ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。
ちょっともう1点御紹介をしたいと思います。農村RMOの取組について、倉吉市の中山間地リーダーの方の意見を聞きました。農村RMOについて、国が中山間地域の農業や地域運営にここまで取り組むようになったというのは感慨深い。農用地保全、地域資源活用、生活資源は今まさに課題になっており、取り組んでいるところだと。行政による伴走支援が重要だと言っておられました。行政には、農村RMOのスタート時点からどこまで関わってもらえるのか、それを明確にしてほしいなということです。あとは自分たちでやるからという声でした。県による、先ほど知事も言われました情報発信、それから取組開始からの伴走支援、これが重要ではないかと思います。
県の組織としては、各総合事務所の中山間地域振興チーム、農林局の地域整備課、普及所、県民福祉局などが横断的に関わって、市町の農林課や地域振興担当課とよく連携をし、今まで以上に地域に関わることが必要ではないかと思います。再度知事に県としてのこの中山間地域へのアプローチの仕方、今後のより一層深い取組への思いや期待、決意を聞かせていただけたらと思います。お願いします。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねてお尋ねがございました。
先ほど申し上げました船岡の問題のところもそうですし、例えば倉吉でも四王寺とか、またいろいろと地域でユニークな活動をされているところ、上灘であるだとか、様々なところにあると思います。そうしたところが、農業生産ですね、農村地帯でありますので、それと結びつきながら昔、村でみんなで一緒にやって、共同体生活をやり支え合ってきた。それは農業生産だけではなくて、日常の生活支援、こういうものも含めてということでありまして、そういうモデル的な姿というのをやはり各地でつくっていくのが中山間地対策の典型的なものだろうと思います。
議員もおっしゃったように、実は東部、中部、それから西部は米子と日野に、それは中山間地の支援チームをつくっておりまして、こうしたところで主体的に関わりながらこういうRMOに向かっていこうというところなどを支え、それは農林水産部がどうしても主になると思いますので、農林水産部のほうでもお支えをしながら進捗を図っていければなというふうに考えております。
ぜひ、そして船岡がもし手を挙げていただけるのであれば、そういうところを皮切りにしまして各地でそうした旗を立てて、それをまたいろんな地域が見に来て、今非常に孤立、孤独になりがちな社会の中のアンチテーゼをつくっていければと思います。
◯議長(内田博長君)19番興治議員
◯19番(興治英夫君)よろしくお願いします。
それでは、最後です。
デジタル人材の育成について、先ほど知事の答弁で来年6月に政府が政策パッケージをまとめるということで、ぜひそのフォローをし、活用し、来年度、新年度予算についても反映をさせていただきたいと思います。
そして県庁内においても、
デジタル人材の育成は喫緊の課題です。地域課題の解決や産業の高度化などを進める県職員のITリテラシーやデジタル技術を活用する能力の向上は、住民サービスの向上や行政事務の効率化を進める上で大切だと思います。県庁内における
デジタル人材の育成をどのように進めていかれるのか、知事の所見を伺います。
また、県内企業や求職者向けの
デジタル人材育成などのために、先ほど知事もおっしゃいましたけれども、雇用人材局がUdemy Businessというオンライン学習ツールを活用しております。県庁職員のデジタル能力開発の研修ツールとして、このような学びの場を活用、提供し、県が一定の受講料支援などもしながら初期段階から高度段階までの
スキルアップ、人材育成を図る一助としてはどうかと思いますが、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)議員がおっしゃいましたように、やはりこういう
デジタル化を我々、県庁のほうでも積極的に取り入れまして、住民の皆さんや事業者へのサービス水準を上げていく、さらには職員のほうの仕事のやり方、働き方改革にもつなげていく、その重要な道筋になると考えております。
これまでも、私どももそうしたデジタルスキルのトレーニングを職員の研修としていろんな形でやってきておりまして、我々の場合はどちらかというと実務でありますから、さらに例えばRPAの研修などをやり、実際の仕事に役立てていく、あるいは電子申請のシステム等の勉強をして仕事の改革に役立てるということを率直に結果も出しながらやろうという形で進めております。
そういう中で例えばRPAを、ロボット化を活用しまして、最近でも納税者の名寄せ作業というのはあります。これは非常に大変な手作業であったわけでありますが、これをロボット化することによりまして99%時間を節約することができました。ざっと年間で950時間ぐらい減ったということです。
同じように、例えば東部の総合庁舎で公用車の運用状況の管理をするわけですね。これは本当に役所仕事の記録をして、台帳を作ってみたいな作業ですが、こういうものも電子化をしましたところ、年間で200から300時間ぐらい節約できるということになりました。やはり県庁職員の資質ということもあるのかもしれませんが、非常に端的に業務改善に結びつけてきています。
また、これを我々、中だけではなくて、企業側からも提案を積極的に受け入れて、それでこういう
デジタル化、RPA化ということをいろいろとやっていこうとしておりまして、例えば砂丘のほうのドローンを活用した調査を導入するとか、こういうのも民間のノウハウを入れながら、我々と協議をしながらやっていくというスタイルでさせていただいております。
御提案のUdemyでありますけれども、実は私どもビーコンラーニングのシステムでオンライン上で研修をするようにしておりまして、この活用を今しております。中身はUdemyと同じようなものです。
あと、今大体60ほどパッケージはできましたが、庁内LANを使って、動画を見て研修を受けるというようなこともやっております。これはその業務に即したテーマで作らせていただきました。これとあと座学を含めた職員研修と組み合わせて、リアルとオンラインと、これを今後ともよく組合せを上手にやって効率的な
デジタル化に結びつけていければというふうに考えております。
◯議長(内田博長君)暫時休憩いたします。
11時20分より再開いたします。
午前11時09分休憩
────────────────
午前11時20分再開
◯議長(内田博長君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
3番福浜隆宏議員
◯3番(福浜隆宏君)(登壇、拍手)改めて、皆さん、おはようございます。随分寒くなりました。論戦のほうは熱く燃えて、気合を入れて頑張っていきたいと思います。
まず、新型コロナ関連です。
第七波に入って、本県でも急に亡くなる方が増えました。この事態をどう捉えて、次にやってくる波に備えるのか、これを今回の質問のテーマにしたいと思います。
議長の許可を得まして、お手元に資料を配付しています。ちょっとちっちゃい字で申し訳ありませんが、まず上の表です。厚労省に対してアドバイスを行っていますアドバイザリーボードが示した数字です。これを見ると、第六波、ちょうどBA.1が流行したときなのですが、この時点で60歳未満の方の死亡率は既にインフルエンザと変わらなくなっていることが分かります。一方で、60歳以上の方の死亡率を見ると、ざっと4倍と、まだ開きがあるというのが状況です。
しかし、ここまで死亡率が下がった以上、今の2類相当が適当なのかどうか甚だ疑問も感じます。5類相当への切替えのタイミングが来ているのではないかと、次の波が大きくなってからでは遅いような気もしています。ただ、これまでの議論にあったように、2価ワクチンの接種が始まったばかり、インフルエンザのように経口薬が普及していない、さらには治療費負担の問題もありまして、現時点では5類相当への切替えは難しいという国の判断。あわせて、ここまで死亡率が減ったのであれば、インバウンドの緩和、全国旅行支援を打ち出したという国の判断、これも完全には否定できません。しかし、否定できませんが、政治が決断するときが来ているというふうに私は思います。
こうした状況を踏まえて、本県の死亡率を見ていきたいと思います。真ん中のグラフなのですが、第七波に入って亡くなった方が58名。僅か3か月余りでこれまでの3倍近い貴い命が失われました。ただ、死亡率を見ると上がっていません。分母の感染者が増えてしまった影響なのですが、でもそう単純でもないようです。
下の表を御覧ください。重症化率の推移です。それまでと比べてみると、第七波ではざっと5分の1に重症化率が減ってしまっています。つまり感染して肺が炎症を起こして重症化して亡くなるという従来パターンではなくて、重症化していなくても亡くなってしまう、そういうケースが増えているというふうに言えると思います。これは何を表しているかというと、高齢の方あるいは基礎疾患がある方が感染をきっかけにもっと体が弱ってしまい、死亡に至るケースが増えていると考えるのが妥当だと思います。
それもやはり5類化を求めていく要因の一つでもありますが、ただ、いましばらく今の2類相当、2類ダッシュ相当が続くのであれば、私たち県民は一体どういうふうに気をつけながらより社会を回していけばいいのか。もっと言いますと回していけるのか。恐らくこの先やってくるウイルスも感染力が強まり、病原性、毒性は逆に弱くなっていくというふうに思われますので、まずこの点について知事にお伺いしたいと思います。
次に、地下水の保全です。
今回これを取り上げたきっかけは、フランスの飲料水エビアンと並んで日本でも非常に人気のありましたボルヴィックの国内での販売が2年前から中止されました。日本国内の飲料水に押されて販売が振るわなくなった、これが大きな要因というふうに言われているのですが、よくよく調べてみるとフランスの現地では水資源の枯渇が大きな問題となっていたのです。天候不順は起きていない。地下水を取り過ぎたのが原因だと、そういうふうに指摘する専門家も複数います。
であるならば本県の、あるいは我が国の水資源は果たして大丈夫というふうに言い切れるのでしょうか。その地下水を守るため、去年6月に改正されました水循環基本法では、国と自治体の責務として地下水を適正に保全して活用すること、はたまた地下水マネジメントのさらなる推進などが明記されています。翻って本県では、法改正に先んじて地下水の保全に関する条例が制定されて、はや10年を迎えようとしています。多くの先輩方がこれに関する質問も度々繰り返されてきました。その条例に基づき、地下水の保全と活用を考えるという協議会も翌年の平成25年には立ち上がって、官民で今地下水位のモニタリング、あるいは水源涵養のための森林の保全などが行われてきました。このモニタリング、県内東部・中部を合わせますとざっと40か所の井戸の水位を確認しながらチェックを行われています。しかし、この井戸水のチェックだけで果たして大丈夫というふうに本当に言い切ることができるのでしょうか。
全国のペットボトル水の生産量、全国第1位は富士山麓の山梨でざっと40%、第2位が静岡で14%、そして第3位が大山を擁する我が鳥取県9%となっていて、その大半を先ほど申し上げた大山山麓からくみ上げています。水ジャーナリストの橋本淳司さんによりますと、大山の水はブナ林によって育まれている。雨水がブナ林に浸透して湧き出てくるまでざっと50年から70年もの歳月を費やしていると。つまり、今私たちが飲んでいる水は、戦中、戦後、50~60年前、70年前にためた水を今私たちは飲んでいるわけなのです。そう考えますと、モニタリングしている大山山麓の井戸の水位が減ったからといって、慌てて取水を制限したとしてもそう簡単には元に戻らないかもしれません。
水は、資源がない我が国にとって世界に誇る貴重な資源です。近い将来食料危機と同時に水を求めて外資が参入するのは容易に想像できます。とりわけ今、極度の円安。参入しやすい状況となっています。この外資による土地の取得。近隣のアジア各国でさえ全面禁止、もしくは何らかの制限を持っています。
ところが我が国は、ようやく安全保障上で懸念がある地域に関しては法整備が進みました。ところが、それ以外の地域に関しては、外資でも土地を買えます。その典型例が北海道のニセコです。外国に土地を奪われて、ファイナンスも外資、地元の銀行は一切そこに入れていません。したがって、地元に落ちるお金は、思ったほどではないというふうな危惧の面も出ています。ただ、一方で、アクティビティーにスキー場、観光、飲食関係など確実にお金は落ちると思います。そして雇用も生まれます。なぜなら海外から大勢の人がやってくるからです。
しかし、考えてください。水は違います。人は来ません。水は海を渡っていくだけです。とてもニセコのようなウィン・ウィンの関係にはなっていかないというふうに私は思います。
確かに本県では条例によって新たに地下水をくみ上げる場合には、周辺への影響、年間くみ上げ量などを県に届ける義務があります。しかし、条件をクリアしさえすれば、たとえ外資であろうと止めるすべがないのではないでしょうかという疑念も生じます。
水は、循環しています。飲んでも使っても海に流れ出してもまた雨となって地上に降り注いでくれます。森林にため込まれてまた地下水となって活用できます。しかし、近年の大規模な異常気象、気候変動、これも大いに気がかりです。はるか昔から私たちが受け継いできた大切な資源である水、30年先、60年先、そして100年先の次の後世にしっかりと受け渡していく、私たちには使命があると思います。そのしっかり使命を果たすためには、井戸水のチェックだけではなくて、もっと大きなスパンで大山山麓の地下のプールには一体どのくらいの水がためられているのか、これが分からないことには適正な水の循環を保ち、あるいは未来に水を渡すことはできないのではないかというふうに考えます。
まずは大山山麓を中心とした西部を手始めに、地下に蓄えられているであろう水の量、年間の降水量とか、川の水量とか、あるいは森林を構成している木々の種目、そういう種類も含めて関係性を併せて見える化する必要が私はあるように思います。知事に所見をお尋ねします。
次に、学校・家庭・地域教育の役割というテーマで、教育長にお尋ねします。
教育の柱は学校であることに異存はありません。しかし、教育イコール学校教育でもありません。生きていく上で必要な人間力の形成という観点でいくと、かつては家庭や地域が果たしていたそういう部分まで学校が背負っている状況が年々加速している。何かあったらすぐ学校、そんな傾向に拍車がかかっているように感じています。
近年、学校教育には外国語、
プログラミング教育、さらに道徳も復活しました。また、この議場でも度々議論されているように、主権者教育、消費者教育、性教育、ふるさとキャリア教育、インクルーシブ、ジェンダー、そして探究的な学びなどなど学校教育に求められている要素は、次々に増える一方です。
こうした中で例えば発達障害であるとか、いじめ、不登校であるとか、ヤングケアラーとか、そして虐待、こうした問題も気を配っていく必要は当然あります。時代や社会が刻々と変化していく中、新たなニーズに応える形で学校が担うべきことがますます増えていく可能性は、この先も否定できないと思います。しかし、そんな余裕は果たして学校現場にあるのでしょうか。
私は、学校教育を補完するのが家庭や地域ではなく、それぞれが主になって担う分野、担う領域があるというふうに考えています。それをはっきり打ち出すタイミングが来ているというふうにも思います。もちろん縦割りでできるわけではありません。お互いに補完し合って1人の人間を育んでいくというのは当然です。しかし、あまりに学校が全てにおいて主になり過ぎではないかと。教育長はこの点をどのようにお考えか、本音でお答えください。
壇上最後になります。高校の魅力化・県外生の受入れについて、教育長ではなく、知事にお尋ねします。
総務教育常任委員会の視察で、島根県の県立津和野高校を訪問しました。代表質問の繰り返しになりますが、津和野高校は全校生徒200名のうち76名が県外生です。生徒の「やってみたい」を「やってみる」に変える、これが学校スローガンです。
これを「やってみる」に変えるため、鳥取県にはたった3人しかいないコーディネーターが津和野高校だけで4人いて、県外生を集めるために全国を走り回ったり、生徒のやってみたい中身を直接聞くため職員室に先生と机を並べて机と椅子が用意されています。また、全国の有識者と生徒とを結んでみたり、地域の事業所を回って、その道のプロにお願いしますというふうにして生徒とつないでいます。
ただ、私が最も注目したのは、そのコーディネーターの数ではありません。組織でした。この4人のコーディネーターは、いずれも地域にありますつわの学びみらいという財団に属しているのです。この財団の理事長は、元津和野高校の校長先生です。この理事長が高校と基礎自治体である津和野高校とのパイプ役になって、生徒が、学校がやりたいことを実現しようと町に足を運んでいって、折衝して、予算を勝ち取っています。ですから、津和野高校の校長先生がたとえ替わろうとしても、この財団がある限り、学校と地域、学校と町との関係は、顔が見える関係というのは変わっていかないのです。
この話を翌日視察しました鳥取県立日野高校の校長先生に振ったところ、そんなことを行っているのですかと。うちは自分が町の折衝も行っています。本当に津和野高校が羨ましいと、ぜひ行ってみたいと、そんなふうに羨ましがっていらっしゃいました。私は、その顔を見た瞬間にふっというふうに思ってしまったのです。そうだよな、高校の魅力化と躍起になっているけれども、本来、学校は、生徒に授業をするためのもの、これが主であって、県外生の募集であるとか基礎自治体との折衝であるとか地域との連携というのは切り分けて考えたほうが、それぞれの得意分野に集中できる。あとは補完すればいいということです。
鳥取県も高校の魅力化を進めるのであるならば、こうした学校と基礎自治体とを結ぶ中間的なプラットフォーム、この組織が絶対に必要だというふうに確信を持ちました。実はこのつわの学びみらいという財団は、津和野町が出資してつくったのです。県ではありません。つまり、高校の魅力化には県立高校だから県の所管と人ごとで考えるのではなくて、いかに基礎自治体が我が事として、この高校がもし地域からなくなったらどうなるのだという危機感を基に本気になって取り組む、これが大きなポイントだと私は思っています。
私の拙いプレゼンでどこまで知事に伝わったか甚だ恐縮するところですが、もし響く要素があるならば、私より恐らく100倍プレゼン能力が高い知事、そして知事部局の皆さんの総力を結集して、ぜひ津和野町のように基礎自治体、トップ、そして職員の皆さんを本気にするそのお力添えをぜひお願いしたいと思います。
以上、壇上からお尋ねして、壇上での質問とさせていただきます。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜県議の一般質問にお答えを申し上げます。
まず新型コロナにつきまして、第八波がどうなってくるのか、また今の状況からして2類ということでよいのか等々のお話がございました。
議員のほうでも今お示しいただけたデータ、ある意味、非常に正確に事態を捉えていると思いますし、議員の分析はそのとおりだと思います。
識者も見ているところもほぼ同じ考え方でありまして、大分様相が変わってきていると。第六波のオミクロン株の前ですね、デルタ株のところまでのところと大分病気の様相が変わってきていると。今年に入りましてオミクロンになりまして、喉から上のところが病気の主体になると。喉がすごい痛いとか、もちろん熱も結構出ますし、結構驚かれる。聞いているよりも大分つらいなという感じの方が結構多いです。
それで、ただ、その中で若い方々が比較的罹患してもけろっとしている人も確かにいるようであります。
ただ、重症的になってくるのは、やはり年のいった方で、特に亡くなる方がこちらのほうに多いということであります。それは何なのかということなのだろうと思うのですね。恐らく素人的には、やはり喉で罹患のウイルスの固まりができるわけですね。ここで増殖すると。肺の中で増殖するよりもここで増殖する。だからうつるのは早いのですよね。結局それがエアロゾル感染なども引き起こしやすいし、要はくしゃみをするとか、せきをするとか、あるいは大声を出すだとか、いろんなことでウイルスが発散をされる。それの増殖が基本的にここで起こりますので、非常に早いタイミングでうつっていくのかもしれません。
ただ、その代わり肺に入り込んで、ここで重篤な症状に結びつく確率というものが低くなってくるということなのだろうと思うのです。
そういう意味で、非常に爆発的に増えるものですから、これが医療機関に対して逼迫を与える危険もあるし、何せ数のロットが違いますので、全国でも何万人というようなことでいきますし、本県もせいぜい数十人あるかどうかだったものが一時期は1日1,198人というところまで増えていくと、そういうようなことが本当に起きてしまったということなのですね。それで現場がいろいろと混乱をしたということなのですが、ただ、重症化の比率は比較的低い。それは実は肺に着目した重症化の定義になっているからです。病気の進行のモデルがもともとの武漢型のときにできていまして、だんだん肺のほうに入り込んでくると。ここで重篤な症状へ引き起こして重症化するという定義なのですが、恐らく病気の進行の仕方が今まで想定していたものと違った形で、基本はここで起きているわけですけれども、ただ、多分体力を大分奪ったり、他の疾患と結びついてやはり命に関わるようなことになってきやすいということがあって、経路的に肺が悪くなって亡くなるというパターン以外のパターンが多いということです。
それで恐らく本県も死者の数がここに来て増えてきている。これはウイルスの特性によるものでありまして、高齢者の施設とか医療施設で非常に増えやすいのですね。こちらはそれまでのデルタ株でも出ましたけれども、基本はそれまで医療クラスターというのは本県は起こしていないのですよね。ですからそれを防いでいたという状況があります。ただ、防げなくなったと。それはやはり病院とか、高齢者施設の中のいろんな接触の仕方とか、恐らくは空調をはじめとした換気の問題だとか、多分原因があるはずなのです。
これをぜひ国で追及してもらいたいと言っているのですが、なかなかちょっと答えは出てこないのですけれども、ただ、全国のお医者さんや福祉施設が言いますが、非常にうつりやすくなって、かなわない、うちでもまたクラスターが起こったと。一回起こって、また起こる。だから今まで鉄壁のように守っていたところもやられると。そうすると何が起こるかなのですが、そこにおられるのは重症化しやすいお年寄り。お年寄りのレベルも多分皆さんが考えている以上です。90代とか、100歳とかがたくさんおられるのですね。そういう方々が最後に割と高齢者の施設の中に入っておられる。実は疾患も持っておられる。そういう中で体力を失わせるに足る力というのは多分この病気は今でもあるのですね。さっき申し上げましたように、結構症状として重くなる。普通の風邪でもお年寄りは死んだりする。我々は経験していますが、それと同じことがやはりオミクロンでBA.5で起こってきているということなのだろうと思うのです。
さらに厄介なのは医療系でありまして、医療系のクラスターに入ったときに入院されている方、特に先ほど申しましたように大病院でちゃんとブロックしたところもウイルスが入ってくると。それが中で広がるとどうなるかというと、例えば末期がんの患者さんだとかにかかったりすると。そうすると、そこでもともとリスクの高い方がウイルスに感染している間に亡くなる。これが死者としてカウントされます。
お年寄りの場合でもやはり入院されている方もいらっしゃるのですが、その状況としては、いわゆるみとり段階に入っている方というのは少なくないです。そのみとり段階に入っておられる方で、では、これからまた投薬治療だとか、いろいろやりましょうというのは、実は御家族はあまり好まれないですね。だからあとはそのまま、残念ですけれども、天に召されるのを待つしかないというようなことというのは実はざらに起きるのですね。ですから高齢者とか、医療機関にウイルスが入り始めたと。これが最終的には今回のような全国的に死者を起こしている要因になります。
同じことは実は家庭内でも起こるのですね。家庭内でもエアロゾル感染が媒介していると思われますが、かなり皆さんもう一様にかかってしまうと。その中にはお年寄りもおられれば、お年寄りは必ずしも元気な方ばかりではなくて、もうおじいちゃん、こうなったらしようがないよねと、一応入院はされるのですけれども、ただ、治療は施すのは控えてくださいというような御家族もおられると。この辺が今のこのデータで見せていただいた現象の実相です。
では、そういうことを背景にして、我々は何をやるべきかということなわけですね。それでお年寄りだとか、そうしたところにつきましては、やはりワクチンを打っていただければ重症化が防げると。
お子様でも発見が遅いというのは多分絡んでいるのだと思うのですが、都会ではお子様で亡くなった例があったり、重症化する例が見られます。その多くは、我々でも中等症以上になる子供などを見てもやはりワクチンを打っていないと。だからそういうのはワクチン効果というのはやはりありますので、そうしたことを考えていくのかなと。
そういう意味で今後、第八波は起こるでしょうし、アドバイザリーボードも10月5日に開かれて、ほぼ確実にインフルエンザと第八波の同時流行だろうというふうに言っています。ですからそれに備えて我々は今対策を取るべきであります。それは例えばワクチン接種を奨励をするとか、爆発的に数が広がってきたらそれに対応するだけの医療資源を確保しなければいけないとか、また外来が非常に難しくなるだろうと。インフルエンザも流行して、そこの判定がつきにくいときにどうすればいいのか。では、簡易キットなどをある程度用意しておくのか等々、従来とはまた違った対策が次に必要だと思います。
ただ、そこでどういう病態になるかまだ見通せませんが、仮に今、第六波、第七波と進んできたところで、重症化率が低い。ただ、重症化を起こすのは60歳以上の御高齢の方々を中心としたものになるということであれば、それに応じた経済、社会の回し方というのは多分あるのだろうと思うのです。ですからワクチン接種や治療という最後のとりでは守りながら、そういう意味でこの間も議論しましたが、そこはある程度やはり公的負担を維持しながらということになるとなかなか5類とは言いにくいのですけれども、それを政府は考えながら2類は当面維持するとおっしゃっているのかなと私は見ています。
ただ、やっている中身としての経済社会を回したり、旅行も結構ですよなども含めて、そうしたところは緩和の方向というのは恐らく当面は後戻りしないだろうというふうに思っています。
そういう意味で新しいタイプのやり方になってくるわけでありまして、ウィズコロナで、それである程度、感染を抑制していくと、それが特に治療や、あるいはワクチンによる予防というものが重視をされる、そういう段階に私たちは入っていくのではないかと考えております。
次に、県内の地下水のことにつきましてお尋ねがございました。特に大山山麓の地下水の状況はどうなのかということについてお尋ねがございました。
今議会でも度々出てまいりましたが、平成24年に地下水保全条例というのを本県は制定させていただいておりまして、それに基づいて事業者の方も協力をしながら、モニタリングを井戸などでやっていると。それで有意な変化があれば当然対応するということになります。
実はその平成24年にこの地下水保全条例ができたとき、若干議論がございまして、そういうように井戸水などでモニタリングをしたりして、それを協議会でも会費を取って一定程度ちゃんと業者の負担の下にやるという世界を残しながらも、その地下水等の状況なども、県政としてやはりよく調査も今後もしていくべきだと。そこは実は議会での議論で少し修正されています。ですから、その部分は条例の外の部分で、私どものほうでは実はその地下水の保全に向けたプロジェクトチームというのをつくっていまして、地下水研究プロジェクトを有識者、学者の皆さんと一緒にやりながら今研究させていただいております。
それで最近までの研究の総括からいえば、大山山麓一帯に年間17億6,000万トンの降水量があるということであります。そのうち地下水のほうに浸透していって、2億トンが地下水として深層で供給されているのではないか。そのうち実は飲料水とか、そうやって地下水くみ上げで活用されているのが2,000万トンぐらいでありまして、水の収支としては十分成り立つ形であります。
それで、それは我々のほうの今の調査なのですけれども、同じような調査を過去にかなりお金もかけながらしっかりやったのが実はサントリーさんです。サントリーさんは、笠良原のところですね、江府町のところに天然水の工場を造られましたが、大企業ということもあって地元の環境に負荷を与えてはいけないということから鳥取大学の学長もされた道上先生をトップにした研究の委員会をつくられまして、精細な調査をされたということがございました。あそこではやはり3,000万トンぐらいの降水量が年間あるということです。その3,000万トンのうちの約2割が深層の地下水になっていく。それでくみ上げると想定されるのはその1割程度ということでありまして、水収支としては十分ではないかと、こういうような結論のものでありました。
その調査は、実は地層の調査もされていまして、我々がやった地下水の今回の調査とよく似ているのですが、あの辺りで実は6層にわたって地下水の流れがあると。それで深層の地下水のところですね、これがやはり流量が多い。こういうところからくみ上げるということなのですが、この深層の地下水のほうに入るのがこの3,000万トンのうちの約2割ぐらい、580万トンというように計算をされていました。だから大体2割ぐらいが深層に行ってというこのパターンですね、これは実は我々が地下水の研究のプロジェクトをやりまして、令和2年度までに見てきた、学者の先生方の総合の17億6,000万トンに対しまして2億トンぐらい地下水、深層のほうに流れるだろうと。ですから非常に実は類似した結果になっているのですね。だから一つのそういう傾向というのは、最近の研究でも分かってきているということです。
ただ、福浜議員がおっしゃるように水というのは貴重な資源でありますので、今後もよくこうした学術的な研究も含めて県のほうでもしっかりと学者の皆さんと一緒に継続をしてまいる必要がありますし、分かりやすいところでは地下水の動向というのを全県的にも今定常的に調べるモニタリングをやっていますので、この辺を組み合わせながら鳥取の水というものを監視して守っていくということだろうというふうに考えております。
最後に、津和野町のことでお話がございました。
これにつきまして日野高校のお話などもあったわけでありますが、実は最近は岩美高校とか智頭農林高校だとか、最近は青谷高校も始めていますけれども、地域の皆さんがやはり乗り出して学校をどう守ろうかということで動き始めています。その辺のやはり、若干の温度差はあるのでしょうけれども、大分空気は変わってきつつあるかなと思っております。
もともとモデルになったのは、津和野高校もそうなのでしょうが、島前、島後の島前高校ですね。隠岐島前高校のところをみんなで勉強しまして、それであそこだと島親とかというふうに地域の方々がそのやってくる子供たちを見守るようなこともあります。そういうようなみんなで見ていくという形をやっていこうと。これがないと、やはり学校がだんだん中山間地等で成り立たなくなってくるだろうということであります。
実は日野高校は、一番焦点になっていまして、御案内のように日野郡の3町と県とで従来から協議体を持っています。現在はこれが連携協約になりまして地方自治法上の組織になりましたが、以前はそういうのを事実上やってきたのですが、その一番の議題の一つは日野高校であります。
その日野高校をどういうふうにしていくのかというのを県側も提示をするわけですね。やはりこれは地元の問題ですよと。地元でも、先ほどそういう話ではありましたが、当時の景山町長なども含めまして何とかしなければいけないと。ただ、なかなか動かないのですよね。気持ちとしては、やはり当然このままでは学校がなくなってしまうのではないかと。我々も若干そういう意味でプレッシャーをかけるわけですね。このままではもう学校が成り立たないと。
それでいろいろと動き始めて、最近ではまなびや縁側という、そういう学習塾を3町でやったり、それからいろいろと町なかに出ていくようなそういうプログラムをつくられたり、そういうものを支えるような魅力化の向上の推進協議会というのもつくっておられまして、ここにコーディネーターを過去も雇っていました。今2人いるのですかね。だからそれは地域のほうでお金を出しているはずです。そういう意味で地域の皆さんと協調をしながらやっていると。例えば最近は寮生活の問題などもありまして、そういうものの手配をして、例えば舎監だとか調理員を確保するとかということがあると。
これは岩美高校とか、智頭農林高校とか、最近は青谷高校もそうですが、皆さん同じような形で入り始めていると。
こういう取組を始めた頃は、なかなか県外から入ってくるお子さんというのはそうはいってもいなかったですけれども、現在では日野高校が13人、年間県外から入ってきていると。だからやはりやっただけの効果は今出てきているのだろうというふうに思います。
ただ、校長先生のそういうお話もあるということでありまして、また改めてそうした地域の皆さんとコミュニケーションも取っていこうと思いますし、これまでも実はやったこともありますが、今これから高校改革が入りますので、首長さんレベルも含めたところで高校の在り方について、地域で支える手法なども含めたフォーラム的な会を考えてもいいかなというふうに思います。
最終的には個別に地元の町長さんとか、地元の例えば卒業生がいますので、そういう方々が大体中心になりまして今やっているのですが、その辺の組織化のことなのだろうというふうに考えております。今日の御質問の趣旨を踏まえて、今後も地元への働きかけをしてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
足羽教育長
◯教育委員会教育長(足羽英樹君)福浜議員の一般質問にお答えを申し上げます。
学校教育、そして家庭、地域、それぞれの役割分担を明確にするタイミングに来ているのではないかというお尋ねをいただき、本音で答えさせていただきたいと思います。
議員がおっしゃったとおり、近年、学校、子供たちを取り巻く社会環境は本当に大きく大きく変化してきております。御紹介いただいたような教育内容もそうですが、一人一人の保護者の方あるいは子供たちの価値観、本当にそれを含めて変化してきている中で、それら全てをやはり学校で完結するということは本当に難しい状況になってきているなというふうに思っております。
振り返れば、教育基本法第13条にも、学校、そして家庭、地域、それぞれがそれぞれの立場での責任をしっかり果たしながら、議員がおっしゃったとおりそれぞれ補完し合いながら取組を、子供たちの教育を進めていくべきもの、そういうふうにうたわれております。
振り返ってみれば、私たちが子供の頃はどうだったのだろうかなということを御質問を聞いていて思いました。私たちのとき、そうした学校はこう、家庭はこう、地域はこう、こんな明確な線引きだとか役割はない中であっても、それぞれがそれぞれの立場で子供たちに対して、時には優しく、時には厳しく声をかけ、叱り、励まし、そんなコミュニティーが成立していたなということを思い出します。
家庭でいえば、私自身スキーがうまくできなくて、やめたといって帰ったときに、おふくろから雪の中に投げ出されて、滑られるようになるまで帰ってくるなと、そんな厳しい母でもあったことを思い出します。
そうしたそれぞれの立場で子供たちに対しての関わり方、逆に子供たちはそうした学校で、家庭で、地域で、大人の背中、姿を見て大切な考え方であったり、生き方であったり、思いを育んできたのではないかというふうに思っているところでございます。どんなに時代や社会が変わろうとも、大人が子供に関わって教育が成り立っていくことを考えれば、それぞれ学校で、地域で、家庭で、大人の責任としてしっかりとした後ろ姿を見せながら子供たちに関わり、それぞれができ得る関わり方、役割、立場というものを考えていく、ある意味これは全ての大人の責任ではないかなというふうに思っているところでございます。
こうした大人の姿が今こそ問われているところであるとするならば、おっしゃったようにそれぞれの役割を切り離していくのではなく、もう一度原点に立ち返った教育の姿、そこに立ち返る必要があろうかなというふうに思っております。その全ての連携が図れる、そんな取組が今進められているところであり、今後もその取組をより高めてまいりたいというふうに思います。
◯議長(内田博長君)3番福浜議員
◯3番(福浜隆宏君)それぞれ御答弁をいただきました。
重ねてお尋ねをしていきたいと思うのですが、先ほどの知事のコロナから追及をさせていただきますが、やはり今後のポイントは、いかに自分たちの今の日本の礎を築いてくださったお年寄りを守っていくかというところにもう尽きるのかなというふうに、その高齢者施設や医療機関というものが、なかなか原因は分からないけれども、そこでやはり亡くなる方が実は多いというところも2類、5類とは関係なしに考えていかなければいけないなというふうにつくづく思い知らされた一方で、例えばこれは5類になったとしても、インフルエンザで高齢者施設でクラスター的なものが起きて亡くなるというケースも過去にありました。ですから仮に5類になったとしても、やはり高齢者施設というのはこれまで以上に神経を使ってずっとやっていらっしゃっていくのだろうなというふうに思うと、本当に大変だなというふうに思う限りです。
ちょうど2年前ですか、医療機関あるいは介護従事者あるいは障害福祉関係の方々に、2年前の6月、夏ですね、慰労金というのが支給されました。しかし、あれは後にも先にも一回こっきりで、それ以降ありません。
そのときに支給されたのは、トータル4万1,176名に対してざっと出されたのですけれども、そこでちょっと考えました。今、第七波がようやく落ち着いてきたタイミング、これはいろいろとなかなか難しいところはあるかもしれませんけれども、この場面だからこそそういう医療機関あるいは介護従事者の方々にちょっとでもリラックスしていただける時間がつくってもらえないかと。そこで全国旅行支援というのが始まるのに合わせて、これを県独自で上乗せする形で、感染リスクが低いというところを鑑みて県内旅行1泊というところに関して御自身とか、あるいは御家族でちょっとリラックスしていただくときに全国旅行支援に1人当たり5,000円上乗せするというふうに考えて、先ほどの4万1,000幾らを掛けると大体2億円の財源が必要になります。現在新型コロナの調整金のほうが11億円ありますので、2億円というと非常に高額ではあるのですけれども、その調整金の一部を使えないかというのをちょっと考えてみました。
ただ、その金額云々より何よりもまずは、先ほど知事もちらっと申し上げられたように、このコロナに対するイメージというのを少し和らげないと、なかなかそうはいってもというふうに自重心が働いてしまうというのは、これはしようがないところだと思います。だけれども、このタイミングであれば、先ほど申し上げたように60歳未満の方の死亡率もかなり下がってきているというところも丁寧に説明して、医療機関、介護施設、保育所、それぞれに御了解を得た上で少しそういうふうに県内旅行に行きやすい空気感というのをぜひ県のお力でつくっていただきたいと思います。これについて知事のお考えをお聞かせください。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜県議から重ねてのお尋ねがございました。
かつては慰労金のことがございましたけれども、今、国のほうでそういう動きはありませんが、他方で、やはりこのコロナを通じて今、介護とか看護とか、そうした関係の方々に対するやはり処遇の問題というのは逆に浮上してきているところです。岸田政権になりまして、そこのところではまずは補助金ベースで対象者のベースアップ等を考えて、この10月1日からこれが介護報酬だとか診療報酬、そうした報酬ベースで見られるようになりました。看護でいえば看護の処遇改善評価料というのがこの診療報酬の中に入りましたし、また保育だとか介護というところでも、ベースアップのそうした加算というものが加算料として入りました。こういうところでいえば法定価格と言われていますけれども、法定価格ベースでもうちゃんと処遇をきちんとこれからも含めてやっていきますよということに発展しましたので、その慰労金のところの議論というのは現代にも生きているのではないかなというふうに思います。ぜひ、これは10月から制度が始まりましたので、これを通じてそれぞれの処遇が改善されるように我々も指導に結びつけていきたいと思います。
旅行などは、はっきり申し上げて県内旅行等はどこもちゃんと対策も取っていますし、されて問題ないと思います。
あと県外に行ったりして人混みなど心配な場合には検査を受けていただいて、それで職場復帰していただければよろしいかと思いますし、実は各医療施設や保育所等も含めて大体そういう扱いにはしてくださっていると思います。メンタリティーの問題は確かにあるということなのですが、恐らく全体の空気が変わってくればそこはまた一掃されてくる面もあるかなというふうに思います。
ただ、悩ましいのは、やはり保育所もすぐに感染が広がるポイントになっていますし、それから介護や医療現場は、先ほど申しましたように皆さん見ていますので、実際に感染が広がりやすいということと、やはり命に関わることになりやすいということは皆さん分かっておられるので、そこは職業倫理として皆さんそれぞれに考えられてされているのは実態です。その辺は今後また感染状況なども的確にお知らせをしながら過度に行動抑制にならないように、私どもも、つとに呼びかけをさせていただきたいと思います。
これから第八波、そしてインフルエンザということになってくると、また付き合い方が見えてくると思います。そのときにまた関係者ともよく意思疎通を図りながら、それぞれの介護や看護の方々等が日常生活に支障がないように、またしっかり遊びに行って羽を伸ばすことも可能なように私どももメッセージの出し方を十分に気をつけてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)3番福浜議員
◯3番(福浜隆宏君)次に、水に関して重ねて質問をさせていただきたいと思いますが、今議会で知事は、水は雇用を生むという表現で、高知県の紙を作るメーカーが鳥取県にやってきたことを例に挙げられて、豊富な水というのが武器になるというようなふうに私は受け止めました。
同様に、今、半導体で世界から後れを取っている我が国の国策として、熊本県に台湾の大手半導体メーカーが進出するという話があります。半導体を生産するには、不純物を取り除くために本当に純度の極めて高い水というのが不可欠だそうです。熊本県の土壌は、御存じのように阿蘇の火山灰です。水の吸い込みが極端に早いため、水源涵養の一環として米を作っていない休耕田にわざわざ水を張って、費用はその水を使っているソニーとか、あるいは富士フイルムとか、サントリーとか、コカ・コーラといったところが費用を分担しながら水を守るという仕組みをつくっています。もちろん、熊本に台湾の半導体メーカーが進出した背景には水だけではないとは思うのですけれども、水がない土地であったら決して進出は起きなかったというふうに思っています。
翻って、本県です。先ほど地下水のほう、大山山麓の地下の水量というのを大体分かっているというお話があったので安心したのですけれども、こんなふうに見える化をもっとアピールすることによって逆に活用もしていけるのではないか、産業振興にも使っていけるのではないかというふうにも考えました。ただ、その地下水の量、中部や東部についてもしっかりと把握していくには財源が私は必要だというふうに思っています。
そこで令和6年から本格導入を受けます国の森林環境税、今配分比率というのは、森林面積が5、それから森林の従事者が2、それから人口割というのが3、5対2対3という比率になっていますが、その5対2対3の比率の中で人口割の3というのは一般財源のほうに入っていくというふうに聞きました。つまり何でも使えるというお金が大都会の人口の多いところでどんどんそこが入っている。これもちょっとおかしな話だなというふうに思うのですけれども、制度をつくるには仕方がなかった反面、大都会に暮らす人々の喉を潤して、より健康な体を維持できるようにしているのは決して水道水ではなくて、私たちの地元で出しているペットボトルの水だと思います。富士山麓の山梨、静岡、そして大山を擁する本県のような水資源がある地域が、都会の人の暮らし、あるいは幸せを支えている。水資源を守ることは、すなわち自分の身を守ることにつながっていくという理解をもっともっと都会の人に持っていただきたい、納得していただきたい。
その上で先ほど申し上げた5対2対3の配分比率を5対2対2にして、残る人口割の1、繰り上がったところを水源涵養あるいは地下水量の調査、その部分に使っていけるように、今でも使えるのですけれども、強力に手厚く使っていけるように、そんな財源に活用していただけないか国のほうにしっかり訴えていただきたいと思いますが、知事の所見をお尋ねします。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜県議から重ねて森林環境の保全につきましてのお尋ねがございました。
議員がおっしゃるように、水源の涵養というのは、いろいろなセクターが関わって、みんなで協力してやっていかなければいけないことだと思います。また、産業面でも大きな効果をもたらすわけでありまして、単にミネラルウオーターの取水だけではないのですよね。実は、例えば鳥取県の大山の一帯、中西部辺りでいいますと、一番水を使っている、年間100万トン以上使っているのは大山乳業さんであります。それからミネラルウオーターは大きなのが2社ありますけれども、合わせて90万立米ぐらいです。また、実は養鶏業者があの辺、結構大きなものがありまして、中部や西部の養鶏業者の大きいところを合わせても90万立米です。
ですから、水をくみ上げること以外にそういうふうに産業利用に農林水産業も含めて実は活用しているわけでありまして、考えてみると、ニジマスの養殖とかみんな清流がなせる業でありますので、水の恵みというのは各方面に恵沢をもたらし、田んぼに水を張ることも含めて、私たちは活用しているわけであります。これは森林の恵みの中から生まれてきているわけでありまして、長年の積雪等が徐々に地下水として浸透しながら、何十年、百年といったベースでこの地表のほうに現れてくるわけでありますので、そうした意味での森の大切さを都会の人にも分かっていただく必要があるだとろうと思います。
そういう意味で、森林環境の譲与税につきまして、今、おっしゃるような割合で配分されているというのは、ちょっとどうも納得がいかないところがありますし、現に3割が人口で配分されていることから、大都市部の結構な財源に実はなってしまっているのですよね。国の国税で取って、それを市町村に割り振るわけでありますが、市町村のほうが、大都市部でも結構人口がただでさえ多いですから、それでいくわけであります。
これの問題意識は関係の地域で持っていまして、私どもも知事会等で、もちろん県もそうですけれども、国のほうに、やはり森林環境の保全に必要な地域に重点配分すべきだと、そういうように申し上げております。また、自民党与党のほうでも農林の調査会のほうから、やはり予算概算要求を前に農林水産省とか総務省のほうに改善を求める申入れをされていまして、今政府のほうでは税制改正等も含めた折衝時期なのですけれども、林野庁はこの配分について是正をするようにという趣旨の税制改正要求をしておられると伺っております。ぜひそうしたことをいろいろと判断をしていただきまして、水源涵養に役立つように使いやすいようにしていただけるよう我々もこれから年末に向けて働きかけを強めてまいりたいと思います。
議員がおっしゃるようないろいろな調査等にもこの経費は使えるようになっていますし、またそれ以外に本県であれば、私どもの水源保全条例のときの議論に即して県としても独自に調査をさせていただきますし、活用の余地はいろいろとあるのではないかと思います。今後よく働きかけを進めてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)3番福浜議員
◯3番(福浜隆宏君)御答弁いただきました。
3つ目のテーマに移らせていただきます。
学校・家庭・地域の教育に関する役割です。子供たちが独り立ちする、今、成人年齢も下がってきまして、18歳、それまでに培わなくてはいけない、培うべき人間力という言い方をあえてさせていただきますと、人間一人の人間の中で、この領域は家庭がぜひ請け負ってほしいとか、この部分はぜひ地域で磨いていってほしいとか、今部活動の地域移行も叫ばれている中で、ただそれは形の上での地域移行ではなくて、では、学校教育の中でどういう部分で部活が領域の中を占めていたのか、それをそっくりそこも併せて渡さないと地域移行というのも意味がないと思うのですね。そういう部分も含めて、具体的で結構ですけれども、教育長の頭の中に一体どういう、どのような領域がそれぞれ役割の主になっていただければできるかというところを少し解明していただけるとありがたいのですが、以上お尋ねします。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
足羽教育長
◯教育委員会教育長(足羽英樹君)福浜議員から重ねてお尋ねをいただきました。
家庭の担うべき部分や、あるいは地域の担うべき分野というのを整理してはどうかというお尋ねだったというふうに思います。
そして、前段、身につけるべき人間力という言葉をおっしゃいました。もちろん教育振興基本計画にもありますが、私は昨年度の就任時以来、この人間力をもう少しかみ砕いて、子供たちが将来、鳥取県、日本、世界を支える大人として社会の一員としての自覚をしっかり持つこと、そして、そうしたよりよい社会づくりに貢献できる力をこの2年間でしっかりと身につける、そのような話をしてきましたし、さらに今年はそこにふるさとキャリアという視点を持って、どんな自分らしい生き方をどこでしようとも、その根底にしっかりと心にふるさとが宿っている、大事にする、そのような子供たちを育てたいというふうに思っているところでございます。
そういう意味で、教育の基本法にも、あるいは教育の本県における大綱におきましても、そうした家庭、地域、それぞれででき得る部分というのをやはり想定しながら方針を立てているところでございます。
例えば家庭で言えば、その日々の生活習慣の基となる寝ること、食べること、挨拶、さらに私が先ほど触れましたが、耐えること、粘ること、そうした日々の生活の中で、子供たちが毎日過ごす家庭の中で、この保護者との関わり、あるいは周囲の人との関わりの中でやるべき部分というのは多分にあろうかと思います。さらに、それが地域に出れば、地域の人々が単に登下校を見守るだけではなくて、今本当に地域の力を借りなければできない、そうした活動もたくさん増えてきておりますし、また、借りることによって子供たちに大人の世界、生きるということの厳しさ、あるいは楽しさ、それを伝えていく、そういう特別な活動にどんどん地域の方に入ってもらって、その自分たちの生きざま、あるいは考え方を子供たちに伝えていく。総合的な探究の時間ですとか特別活動の中で、そうした地域の人をどんどん学校に入れながら進めていくことが私は必要だろうと思っています。そのことができるのが現在全校に導入を進めておりますコミュニティ・スクール、この制度をまず全校に導入することだけではなくて、それが継続性、そして子供たちの育ち、学びにより高まるような中身を高めていくこと、そういうことが大事ではないかなというふうに思っており、このコミュニティ・スクールを一つの核としながら、家庭の役割、そして地域の役割を明確にした取組が進めていけたらというふうに思っております。
◯議長(内田博長君)3番福浜議員
◯3番(福浜隆宏君)御答弁いただきました。
確かにコミュニティ・スクールも、でも学校が結局グリップしてしまっている感が否めないのですよ。そうではなくて、もう少し主体的に地域が教育についてどういうふうに乗り出していけるのかと自ら考えていける、その一つの下地みたいなものをもっと教育委員会のほうから打ち出していただければ。境港だったと思うのですが、かつて子供会でこのような活動をしていました。米子の映画館に行くと。保護者はついていかないのですよ。6年生が1年生の面倒を見ながら自分たちで列車の時刻表を調べて切符を買って、1年生の世話をしながら、当然映画の時間に間に合うようにスケジュールを組んで、保護者は何をしているかというと遠巻きで見えないように後をこっそりついていく、初めてのお使いみたいな感じです。だからこういうことは地域じゃないとできないと思うのです。
例えば川遊び、危ないからやめろではなくて、では、そこに地域を巻き込んでいけば何かできるかもしれないとか、そういうふうにやはりお互いが話し合って、ここはこのようなことできるのではないかみたいな、ここは学校では無理だからお願いしますよみたいな、そういう顔の見える関係性、もっとこういうことができるのではないかと。これからぜひ協議会的なものをつくって仕掛けてほしいと思います。その辺を教育長に重ねて御質問したいと思います。
また、地域が関わるということになりますと、やはり知事部局の出番だと私は思っています。僕は教育改革、鳥取県だからこそできるというふうに思っていますので、その辺りの知事の決意をお聞かせください。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜県議から重ねてのお尋ねをいただきました。
今、教育長のほうも御紹介がございまして、いろいろな例はあると思うのですね。境港の初めてのお使いは非常に面白いなと思って今お伺いをしていましたが、そういう冒険をするというのは、やはり大切なのだろうというふうに思います。
手塚治虫さんが言っていましたけれども、子供の育ちというのを考えた場合に、学校、家庭、友達、それぞれが平等に子供を培っているというふうに手塚さんはおっしゃっておられました。まさにそうだと思うのですね。だからやはり学校だけが全てを負うわけでなくて、トータルに人間というのは育っていきますし、学校外の時間は当然ありますし、そこは実は関わり合いながらやっていけるところだと思います。
その辺が恐らくもともとの日本社会にはあったように思うのですが、先ほどお話の子供会というのも、昨日は美田さんという全国子ども会連合会の会長さんがお見えになられましたけれども、全国の会長さんが今米子のほうから出ていると。でも、おっしゃった中でびっくりしたのは、全国の組織自体も存亡の危機にあると。やはり各地でそういう子供会活動というのは失われつつあるというようなことなのだろうと思うのです。子供の数が減っているだけではなくて、やはり地域の子供を育てる力、本来、我が国はそういうのを持っていたと思うのですね。
今、朝の連続テレビ小説が始まりまして、五島列島を舞台にやっていくわけでありますが、結局、お子さんをみんなで見守るよというようなことを実は五島のおばあちゃんが言うわけですね。みんなが島中で育てるのだと。こういうのがやはり私たちが本来持っていた田舎のよさなのかもしれませんが、地域の教育力、構成力だと思います。
例えば中ノ郷小学校区でも地域づくりの協議会が動いておられます。それからもちろん学校を応援するPTAだとかそういう活動もある。そういう中で、平成20年や令和2年に芝生化の事業をされる。それだけではなくて、例えば麒麟獅子とか、さいとりさしとか、そうした伝統芸能というのを子供たちを交えながら継承していく。地域の交流事業というのをやる。こういうのはトータルで実は域内で展開をされるわけであります。こういうものの機能というのをもう一度やはり私たちは見直しをしていくべきなのではないかなと思いますし、そこから本当にふるさとを愛する有為な人材というのが将来リターンとして帰ってくるのではないかなというふうに思います。
そういう意味で、いわゆるふるさと教育とかキャリア教育だとか、いろいろな言葉が充てられますけれども、そういうものと併せて、例えば子供会活動も含め、県としても教育委員会と相談しながらどういうサポートができるのか、しっかりとフォローしてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)足羽教育長
◯教育委員会教育長(足羽英樹君)福浜議員から重ねてコミュニティ・スクールという学校主体だけではなくてという地域の力をどう使うかということをお尋ねいただきました。
コミュニティ・スクールという言葉がすごくなじみがあるといいますか、響きがいいものですから、学校がどうしても主体となる、これは確かにコミュニティ・スクールというのは学校運営協議会といいまして、学校の中に地域の方、関係者を招きながら子供たちの育ち、姿を共有して進めていこうとする取組でございます。一方、地域にも地域学校協働本部という地域の中に地域住民や保護者やそれから関係団体、スポーツや文化、そういったものを束ねた協働本部というものがあり、その両者が手を組み合って子供たちを、我がまちの我が子供たちをどんなふうに育てたいのか、成長させたいのかを共有しながら、それぞれの立場ででき得ることを構築していく、これをコミュニティ・スクールと、そういう協働本部という、こういう仕掛けになっております。その辺りがいかに県内地域にしっかり浸透していき、学校任せではないよ、我々にも我々の分の責任があるのだ、そういうことを理解いただきながら、できることを継続性を持って展開していく、そういう取組だからこそ、子供たちが今知事がおっしゃった我がまちの我が子供たちをみんなで育てる、そのようなスタンスや方向性が定まっていくのではないかなというふうに思っております。その両者のタッグ、組合せをしっかり大事にしてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)3番福浜議員
◯3番(福浜隆宏君)時間もありませんので、最後になります。4番目のテーマ、県外生受入れについて重ねて知事にお伺いします。
私はこれは地域の未来づくりにつながると思っています。鳥取県には何の縁もゆかりもなかった子供たちが高校3年間、たった3年間ですが、東京や神奈川などからやってきて青春時代を過ごす。進学や就職でたとえ鳥取県を離れたとしても、鳥取への思いは残ると思います。将来、鳥取に戻ってくるかもしれません。あるいは家族ができたときの旅先が鳥取になっていく、いわゆる関係人口、交流人口の芽がそこでできると思います。
県外生受入れの最大のネックというのは、やはり寮の問題です。既存の施設を寮に改修するにもやはり莫大な財源が必要です。極めて乱暴な提案かもしれませんが、莫大な費用をかけた学校の耐震改修が終了しました。そこで、今度は地方創生、関係・交流人口を育む芽、そういうものを育てる意味で、また生徒にとっても田舎育ちと都会育ちが一緒に青春時代の3年間を異なる価値観を持つ者同士がそこで交わることの価値観、そこの意味合い、そういうところも含めて、やはりそういう部分、既存の施設を改修するときの財源を何とか国から引っ張ってくることはできないのか。その辺り知事のお考えをお聞かせいただいて、今議会の質問とさせていただきたいと思います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜議員から重ねてのお尋ねがございました。寮を通じて子供たちを受け入れて、それで多くの地域と交流をしながら地域で子供たちが育つ、そういう場面をつくっていこうではないかと、こういう御提案でございます。
国のお金ということで確かにあり得るわけでありまして、北海道の礼文島など地方創生の交付金を使ってそうした寮等の整備をした事例もあります。それは提案次第で我々も国の応援を得ることはできるのかもしれませんが、若干盲点になっているような気もいたします。今、若い層で20代の半分以上は地方移住に興味があると言っているわけです。そういうようなことは、子供たち、特に中高生ぐらいになってきますと、寮生活をして少し違ったところで空気を吸ってみたい。実はその背景には、多分、例えばスポーツだと鳥取に留学すればすぐに甲子園へ行けるんじゃないかとか、そういうような下心も子供なりにもあって、その辺はやはり我々としてはある意味、人口が少ない県だということを逆手に取って交流人口を増やすチャンスなのかもしれません。
そういう意味で、今、私学の面で言えば、私どものほうで例えば改修費、利子の負担とか、それからおっしゃるような既存の建物を改修した場合の助成制度だとか、それから人件費も2分の1、県の場合は見ますので、そうやって私学の助成などをし、例えば城北高校さんだったらば山陰合同銀行の寮などを使いながら、今それで割と大規模な寮をつくって学生生徒さんを受け入れるというようなことを始めている。現に私学では、ここ3年、コロナ禍ですけれども、県外からの入寮生が140人から210名強まで増えています。急速にやはりそうした意味で需要を得ているところがあると思うのですね。
こういうのは公立でもいろいろな工夫をされていまして、例えば八頭高校であれば、企業さんが宿舎、施設を提供されて、同窓会が協力をしたり町がお金を出したりしまして、それで寮を運営するということをスタートをされる。また、例えば倉吉北高校の寮に県立高校の生徒さんが入る、そういうようなことをやったり、いろいろと工夫をしながら受皿を増やしていくべきだろうというふうに思います。
議員がおっしゃるように、そうして私たちのふるさとの人材になってくれるかもしれないですし、交流を通してやはりいろいろと地域としても貢献できることも多いのではないかなというふうに思います。
子供たちにとりまして、いろいろなところでそこの人たちと出会うことで可能性ということを広げることができるのだと思うのですね。寮というのはかなり子供にとって大きな決断だろうと思いますが、ただ、それが逆に例えば鳥取へ定着する人口に将来的になるとか、また、そうしたところで交流した縁で私たちのところにもいろいろなリターンがあるかもしれません。今度、オリックスの能見選手が引退されますが、もともとは但馬の人で、鳥取城北高校で活躍をし、その後、大阪ガスとかでプロへ向かったという方でありまして、こういう人材をもっと我々も可能性を応援することはできるのではないかなと思います。
宮崎駿監督もやはり子供についてこういうことも言っていました。子供というのは可能性の生き物である。その可能性に私たちがやはり賭けることは、大切な我々大人たちの役割ではないかと思います。そういう意味で、関係の学校等ともよく事情を聴きながら、寮生活の応援ができるようなことを今までよりもなお一層ちょっと仕組んでまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は、1時30分より再開いたします。
午後0時32分休憩
────────────────
午後1時30分再開
◯副議長(広谷直樹君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
9番森雅幹議員
◯9番(森雅幹君)(登壇、拍手)会派民主の森雅幹です。
通告に従って3点にわたって質問をいたします。
まず、1番、産業廃棄物最終処分場についてであります。
令和2年2月16日の第1回から約1年半にわたり精緻な調査が行われ、本年7月3日にはその結果が知事に報告されました。調査に当たっていただいた嶋田熊本大学名誉教授をはじめとする委員の皆様には、敬意と感謝の意を申し上げる次第でございます。
以下、知事にお尋ねをしたいと思います。
地下水調査会の調査結果は影響は極めて少ないというものでありますが、どのように受け止められているのか伺います。
次に、水道水源等及び塩川を水源とする農地への影響はないのでしょうか、また、環境管理事業センターの計画にどのように反映させようとしているのか伺います。
次に、食料安全保障について伺います。
米中経済戦争、ロシアのウクライナ侵攻や日本と世界の金利差等による円安により、世界経済は一変しました。食料、エネルギー、肥料原料のかつてないほどの高騰や国際流通量の減少によって、量を確保できない状況に直面しています。これまで我が国の高い経済力を背景に、海外の安いエネルギー、食料、肥料等を輸入に頼る政策こそが正しいとまかり通っておりました。このため、国産が割高であった麦類をはじめ、輸入自由化の中で、生産は行われなくなっていきました。経済成長、食生活の変容によって、国内自給率は現在エネルギーが6%、食料37%、肥料原料ゼロ%の現状であります。
国は、対中国、対北朝鮮等に対する経済安全保障、そしてウクライナ侵攻を契機に、防衛費の増額、対GDP比1%を2%に増額をするというようなことが盛んにマスコミをにぎわせております。また、昨年からガソリン価格の補填を実施したり、今年度は肥料高騰対策で化学肥料削減を条件に、価格上昇分の補填策等が発表されているところです。
この間、米中経済戦争による経済安全保障、ロシア、中国、北朝鮮の武力脅威による国防安全保障が主に議論されてきましたが、なぜか食料安全保障については国の動きが鈍いと言わざるを得ません。問題は、いずれ価格が落ち着いて世界流通が元に戻るということが想定されないことであります。
東大教授の鈴木宜弘先生のお話を2回にわたって聞く機会がありました。先生によれば、既に食料危機がもう始まっている、そうおっしゃっています。この現状を踏まえ、国は大きく政策を転換しなければならないと私は考えておりますが、知事はこの状況についてどのように考えていらっしゃるのか、また、鳥取県はどのような対応を考えているのか伺います。
次に、シチズンシップ教育、主権者教育についてであります。
国政選挙等における若年層の投票率は総じて低迷をしております。そして、低落傾向にもあります。小中高におけるシチズンシップ教育、主権者教育の充実が求められております。このシチズンシップ教育、主権者教育をどのように位置づけ実施しているのか、教育長に伺います。
また、中高と一番多感な時期であり、いわゆる自己表現や主張をしたい時期に、いわゆる校則が制服や服装規定、そういったもので規則だからといって押しつけている現状があります。校則問題においては、文科省も問題意識を持ち、令和3年6月には事例を付して以下のような内容の見直しの事務連絡を出しています。校則が生徒の実情、社会常識の進展を踏まえたものになっているかを絶えず確認する。また、生徒自らが校則の意味を理解し、率先して校則を守ることができるよう、生徒が校則について考える時間を持ち、生徒の意見を踏まえた見直しになること。校則のホームページ掲載が求められているとしています。私はこの校則の見直しに関わることこそ自身の環境を見詰め、社会の不条理を正していくことにつながると思っています。これこそがシチズンシップ教育、主権者教育だと考えております。
ただ、状況は刻々と変化してきております。議員御心配のように、国際情勢がそれを許さないというところもあるのだろうというふうに思います。なので、先ほど知事からありましたように、今食料農業農村基本法の見直しに着手をしてきてしつつあります。9月29日に立ち上げられましたけれども、恐らくその中でリスク対応も議論されるのであろうと、この問題も議論されるのだろうというふうに思います。我々としてもその議論を注視してまいりたいというふうに思っております。
◯副議長(広谷直樹君)9番森議員
◯9番(森雅幹君)種子の問題で先ほど部長のほうからもお話がありました。私も野菜を作っていますけれども、買ってくる種の袋はほとんどがスペインだとかチリだとかアメリカだとか、そういうところばかりですね。ただ、本当に言われるように、全部F1です。これは全て種苗会社の作戦にほぼほぼ乗ってしまって、毎年毎年種を買わなくてはいけないという仕組みに農家は完璧に乗ってしまったと、その結果なわけですよね。もともとは自分のところで種を取って、それをまた翌年まくということで生産をずっとやってきたわけですけれども、それができない仕組みにまんまとはまってしまったと、こういうことです。
このことについても、やはり過去の伝統野菜、京野菜などでそれができるような形を一生懸命追求しているところもあります。私は食料安全保障ということを考えていくときに、このことを、本当に今年ただいい作物ができればいいやということでF1ということにみんな手を染めていったわけですけれども、そういうものでない持続可能な種といったものをやはり残していくことが私は重要だと思っていますので、ぜひそのことについてもまた御検討いただきたいと思います。
次に、シチズンシップ教育、主権者教育についてです。
先ほど幾つか校則の見直しについて、いいところのお話をしていただきました。私も高校の校則について2年前なのか3年前なのかに全部頂きまして、いろいろなものを全校のやつを見ました。それには服装規定ということで、細かいことがいろいろ書いてあります。本当にこんなことまで必要なのかということが私はあると思います。また制服ということですから、みんな同じ制服の中で個性を出したい、みんな人との違いをどうやって出そうかという、そういった成長の時期に、同じものを着て同じものを、それ以外は駄目だみたいなことで指導をしているのですよね。個性をどんどんどんどん潰すような教育をそこでしているわけですよ。その意味では、制服問題とか服装指導の教育的意味というのは、本当にどこにあるのだろうか。実際には、子供たちとの間で服装指導で結局退学していってしまう子供たちもいるのですよ、そのようなことが本当に当たり前にされていて、もうそろそろ私はこの制服問題もこの服装指導も学校から開放して、先生もそのようなことをしなくてもいいというような形になっていく、そのことが私は本当に学校を子供たちの成長の場にするものではないかと思うのですけれども、教育長の所見を求めます。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
足羽教育長
◯教育委員会教育長(足羽英樹君)森議員から校則に関して制服の扱いのありようについて重ねてお尋ねをいただきました。
御指摘がありますように、服装に関する服装指導について、それが結果、退学につながってしまうなどという、そういうふうなことは、やはりあってはならないものだというふうに思います。冒頭も申しましたが、生徒指導とはいかなるものか、決して生徒をルールで規則でがんじがらめにする、そのことが決して目的ではない。社会として、あるいは学校組織として生活上気をつけなければならない点は何か、最低限のものを社会の実情や生徒の実態に応じて決めるべきものですので、そのことでがんじがらめにする、押さえつけるというふうなものであっては根本ならないというふうに思っております。
ただ、一方で、制服があるからおっしゃいました個性を奪っているというふうには私は残念ながら思ってはおりません。制服をきちんと着こなしながら、またその制服を着た中にある内面をいかに発揮していく、そしてそれを認めていく、そういうことが学校の中で生徒指導の中で必要だろうというふうに思っているところでございます。
制服問題も米子南高校がこの春、全面リニューアルをしました。生徒の問題意識、先生方の問題意識、保護者のアンケート、議論を重ねながら、そしてジェンダーの問題も含め、社会問題も含めて大改定しました。鳥取西高校も今その渦中にあります。制服も含め、服装、ツーブロックが駄目な理由は何か、生徒のほうが提案していく。それを今また学校のほうも受け止めたりしているところであり、そうした自分たちの身近な生活を含めて議論を課題意識を持ってして、ある一つの一定方向の道筋を定めていく、そういう生徒たちの社会参画の一歩ではないかと思っております。
◯副議長(広谷直樹君)9番森議員
◯9番(森雅幹君)ちょっと繰り返しになりますけれども、制服問題を考えることが、私は主権者教育につながっていく。要するに自分たちの環境を自分たちで変えられる。それは学校の中だけではなくて、地域のいろいろな問題について、社会参加していくことによってそれは変えていくことができる。議会に高校生議会や八頭町議会、北栄町議会でそういった体験をする子供たち、本当に私はいいことだと思います。ぜひそのことも広げていただきたいですし、それから自分たちの環境、制服問題も含めた校則問題を考える、そのことが大事だと思っていますので、ぜひそういったことを進めていただきたいということを申し上げて終わります。
◯副議長(広谷直樹君)暫時休憩いたします。
午後2時50分より再開いたします。
午後2時38分休憩
────────────────
午後2時50分再開
◯副議長(広谷直樹君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
23番斉木正一議員
◯23番(斉木正一君)(登壇、拍手)県議会、自由民主党の斉木正一でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
9月議会一般質問の最後の質問者となりました。今議会は会期中に台風14号が中国地方を直撃し、交通機関が終日混乱したほか、農産物などにも被害がありました。被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げます。
また、一方で、全国高校生手話パフォーマンス甲子園が秋篠宮佳子内親王殿下の御臨席の中、3年ぶりに開催されました。全国から高等学校や特別支援学校の生徒たちが倉吉市に集い、日頃の練習の成果を発揮され、それぞれに特徴的なパフォーマンスを繰り広げられました。
そして、9月27日は、安倍晋三元首相の国葬に参列されましたし、10月1日にはとちぎ国体の現地で選手を激励、明くる日2日には米子市での拉致問題の早期解決を願う国民の集いに合わせて、拉致問題担当大臣の松野官房長官に同行され、松本京子さんの拉致被害の現場視察と、平井知事におかれましては、いつもながらの大変御多忙であったことと思います。お疲れの中ではございますが、もうしばらくお付き合いをお願い申し上げたいと思います。
しかし、早いもので、今任期も残すところあと半年ほどになりました。本日はこれからの鳥取県を担う子や孫たちが安心・安全に生き生きと暮らすことのできる生活環境、社会環境をいかにつくり守っていくべきか、通告に従って知事と議論をさせていただきたいと思います。
まず初めに、淀江産業廃棄物最終処分場についてであります。
今年3月に公表された産業廃棄物実態調査によると、令和2年度の1年間に本県で発生した産業廃棄物は第一次産業を除いて61万6,000トン余り、このうち西部地区が約6割、36万6,000トンぐらいを占めているとのことであります。その一方で、本県産業の特性でもあると思いますが、リサイクル率は全国平均を大きく超える80%、そうした再生利用などの資源化を経て、最終処分量は2万8,000トンという推計でありました。少なからずそうしたリサイクルの難しい産業廃棄物があり、毎年おおむね2万トン前後を県外の最終処分場に搬出している本県では、県内企業の搬出に要する負担軽減が課題であり、最終処分場は必要不可欠であります。
また、企業誘致の面でも、恒常的なコストが立地進出の障壁にもなるものであります。さらにはいずれ発生するとされる南海トラフ巨大地震などの災害時を含め、県内企業がふだん日常的に搬出している他県の処分場からいつ受入れ拒否、締め出されることになるか分かりません。そうなると本県の建設業や製造業など、幅広い業界で生産活動に多大な影響を及ぼすことは必至であります。
そのような観点で、淀江の産業廃棄物の新たな最終処分場を早急に整備することが、県民、県内企業、県内経済界の長年の悲願であるのはまごうことなき事実であります。
私としましては、これまでの歴史的な経緯を踏まえて、今任期中には淀江の最終処分場が設置を許可され、建設工事に着手されるものと思っておりました。しかしながら、令和元年11月定例会で知事は、結果によっては白紙撤回もあり得るという覚悟の下、徹底的な地下水調査を決断されました。これまで重ねての予算編成で行ったボーリング調査は、12の地点、32孔、地下水位の観測は36本の井戸で水質分析は湧水や河川水を含め64検体であります。実に丁寧に分析されたこの地下水調査は、最終的な結論として福井水源地には流れない、三輪山の清水にはほぼ影響がないとするものであります。この議場では、それでもなお不安があるとする御意見を多く聞きましたが、改めてこの調査結果と最終処分場の早期設置を望む声を踏まえて、今後どのように進めていくお考えであるのか、知事の所見を伺います。
次に、持続可能な農業の確立について伺います。
政府は、先月9日、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部を開き、農業政策の基本となる食料農業農村基本法の見直しを指示されました。これを受けて先週29日、農林水産省の審議会が検討部会を新設し、今後、1年程度かけて食料安全安保の強化に向けた議論を進めることとされました。
我が国は平成10年度から令和3年度までのおよそ20年間でカロリーベースの食料自給率が向上どころか40%から38%へと低下しており、8年後の2030年までに45%とする目標には程遠い状況であります。私が危惧しますのは、全国の農業従事者数が直近25年間でほぼ半減し、50代以下は全体の僅か2割ほど。高齢化が急速に進行しており、農地面積も耕作放棄や転用需要等により、減少の一途であることであります。自給できている米についても、主食でありながら人口減少も相まって年間およそ10万トンの消費量が減少しており、本県においても過去5年生産目標は達成しておるものの、生産量自体が少ない状況であります。
こうした現状を踏まえて、本県が目標と定める2030年、令和12年の農業産出額1,000億円達成に向けて、その前段となる中間目標、3年後の令和7年に900億円を達成しなければなりません。円安基調はもうしばらく続く可能性もあり、このまま肥料価格が高止まりとなれば、新規就農も敬遠され、さらなる耕作放棄地の拡大も懸念されますが、目的達成に向けた現状と課題、生産農家の収益確保に向けてどのような対応を図っていかれるのか、知事の所見を伺います。
さらに、新型コロナの感染拡大の影響から、中食や外食産業において販売量が大きく落ち込み、令和3年産の米価が大幅に下落し、大規模農家を中心に経営に大打撃を与えております。これに追い打ちをかけるように、今年に入ってウクライナ危機による我が国の肥料、食料の自給基盤の不安定さが浮き彫りになり、生産者にとっては営農計画の見直しを迫られることとなりました。今こそ私は肥料、飼料の自給率向上、耕畜連携を進める好機であると発想を転換し、主食用米の需給調整のため、飼料用米に活路を見いだすべきではないか、米の消費が減り続ける中、主食用米から飼料用米、麦、大豆、トウモロコシなどへの転作が水田経営に不可欠ではないかと思います。
貴重な国産飼料の原料として、耕種、畜産双方に利益をもたらすものであると考えますが、本県における飼料用米などへの転換について、知事はどのようにお考えであるのかお尋ねをいたします。
最後に、人口減少時代における地方創生の推進について伺います。
振り返れば、平井知事は平成11年から本県の総務部長、平成13年には全国最年少で副知事に就任されました。その後、平成19年からこれまで4期にわたって知事として八面六臂に御活躍をいただいているのは皆さん御承知のとおりでございます。
不肖私も平成11年の統一地方選挙で初めて議席を与えていただき、知事の辣腕ぶりに今日まで接してまいりました。その中で、もう20年以上も昔のことになりますが、とっとり花回廊のイルミネーション、初めての夜間点灯式に知事の代理で登壇された、若々しかったですね、総務部長が手持ちの原稿もなしに堂々と挨拶されました。華やかな光の演出を待つ静寂の中で、来場者の期待感やその場の雰囲気、空気や雰囲気を見事に醸し出すような人の心に響かせる言葉の端々に本当にこれは大したものだなと思ったことがございました。
案の定、期待にたがわぬ活躍でありますが、知事に就任され、1期目はリーマンショックに始まる世界的な不況、2期目は東日本大震災、3期目は鳥取県中部地震や豪雨災害からの復旧・復興、4期目は新型コロナと物価高騰と災難続きであったように思います。危機管理や緊急対応にたけておられる平井知事が県民の命と健康、産業と雇用、そして地域の安全・安心な暮らしを守りながら、こうした難局を乗り越えるために全力を尽くしていただいてきたことに対しては、敬意を表するとともに、心から感謝を申し上げたいと思いますが、平井知事自身が目指しておられる地方創生の新時代の扉を開けることができましたのかどうか、率直な思いをお聞かせいただきます。
以上、壇上での質問といたします。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)斉木議員の一般質問にお答えを申し上げます。
冒頭、台風14号だとかいろいろなことがあった今議会の会期中を振り返りながら、子や孫たちが安心できる環境をつくっていかなければならないと、こういう力強いお言葉をいただきました。確かに今議会中も台風14号が来る、そのほかにも台風が頭の上を通り過ぎるとか、さらに拉致の大会もありましたが、北朝鮮がミサイルをこれもどんぱち撃ってくるのもちょうどこの時期になりましたし、内外、非常に多難な折でありましたが、今日ここに一般質問を閉じる日までやってきたということでございます。
様々な議論を振り返りながら、こういう多難な時代だからこそ、私たちが鳥取から底力を出していかなければならないのではないかというふうに思います。議員のほうからもお気遣いをいただきましたが、斉木議員も非常に考えてみれば平成11年の初当選以来、この議席を占められながら、今自民党という会派も束ねられまして、折に触れて私ども執行部を御指導いただいてまいりました。議員のほうでこれまでも例えば何世代か同居するような住宅について配慮すべきではないかと、税制の問題であるとか、不法投棄の廃棄物の問題であるだとか、農業の課題であるだとか、いろいろと県政に御提言いただいたことを今しみじみと思い出しながらお話を伺っていたところでございます。
子や孫たちが安心できる環境をという言葉でありますが、緑夫人も含めまして、御家族が安心できる環境をぜひつくらなければいけないと。今日は斉木議員は緑のネクタイを締められていまして、大変家族思いだなと思いながら拝見したところでございます。いずれにいたしましても、共に力を合わせまして残り半年となりましたこの任期を何とか仕上げていく決意でございます。
そういう中、地下水等の調査の結果、それから最終処分場の早期設置を望む声がある中で、淀江の産業廃棄物最終処分場という課題につきまして、どういうように取り組んでいくのかと、こういうお尋ねでございます。
議員も御指摘ございましたが、産業界等、廃棄物関係者からたび重ねて要請もいただいてきたところであります。やはりリサイクルは大分進んできた、議員がおっしゃるとおりでありますが、ただ、医療廃棄物などもございますし、あれも燃やして滅菌などをするわけでありますが、それでもなお残るごみがある。それからかつては非常にロットのかさんだ住宅廃材等がございましたが、こういうものもいろいろとリサイクル、リユースをするにしても、なお残る例えば幾つかの部材が組み合わさったようなそういうパーツとか、どうしても廃棄物にならざるを得ないものがあったりする。我々の生活やあるいは文明社会にとりまして、どうしても残らざるを得ないのがこういう廃棄物でございますし、特に産業廃棄物の場合は一定程度県も責任を持ちながら、この廃棄物が処理をされていく道筋をつくならければならないと、これは廃掃法の中でも規定をされているところでございます。
そういう責任も一方で感じるわけでありますが、もう片方で、やはり安全・安心で地元の方に納得していただき、言わば共存できる、そういう廃棄物処分場の姿というのが可能かどうか、これはとことんまたチェックをしなければいけないのもまた事実であります。
議員からお話もありましたが、令和元年11月の県議会だったと思います。最終的には調査会の設置をお認めいただきましたが、これによりまして大分議論が止まることにはなりましたけれども、ただその結果、精細な科学的知見も得られた上で、この次の手続ということになってくる、そういうタイミングに入ったのかなというふうに思います。ただ、履き違えてはいけないのは、やはり安全・安心ということは第一に考えていかなければなりませんし、それが御地元の皆さんの最大の前提でありますので、ここには我々も最大限のプライオリティーを置いて今後もやってまいりたいと思います。
肥料価格、それから飼料用米につきましてお尋ねがございました。肥料価格や耕作放棄地、そういうような課題がありながら、生産農家の収益確保に向けてどのように今後進めていくのかということです。
県政として議場での御議論も踏まえて、当面は900億円、その次は1,000億円という生産の大台を鳥取県全体で回復していきたいと。これを今、最大の眼目に置きながら、現在764億円という生産額でございます。これを上向かせる材料というのは、これまでの様々な政策や農家の皆さんの奮闘によりまして、随分と確保されてきていることは事実だと思います。例えばスイカにおきましても、過去最高の単価を取ることができましたし、連続して30億円を超える売上げにいったということであります。また梨につきましても、新甘泉はもとより、二十世紀梨につきましても、品質が市場で再評価されているところでございまして、この単価も回復をしてきているところであります。それとあわせて、畜産関係も伸びが著しいところであります。
900億円とのあい差を埋めようと思いますと、お米は大体横ばいで進んでいくかなと見込まれますが、畜産関係とか、野菜、果樹、園芸系で生産額を乗せていくということになろうかと思います。和牛につきましては、おかげさまで5,000頭というかつてからすると考えられない目標も今や達成済みとなりました。いよいよこの週末、多くの県議会の皆様にも御同道いただき、応援もいただけるということでありますが、和牛のオリンピック、鹿児島の全共が開催をされることになります。こうしたところの成果にもよるわけでありますが、なお一層のそうした畜産の発展ということをぜひとも我々はつくっていかなければなりません。
実は牛に限らず、鶏のほうも生産を増強してきておりまして、ある意味順調に増頭、増羽しているところでございますし、また乳牛のほうでもこれも6万トンの生乳というところの回復ができております。ただ、ここに議員がおっしゃるように、肥料の問題であるとか、餌を買うためにも餌の高騰、円安なども絡みまして、大変な厳しい状況にあります。昨日も鹿児島全共の開会式で鹿児島県の塩田知事が挨拶をされたというのが報道されていましたけれども、今、和牛農家は飼料高、餌代によりまして大変な苦しい中にあると。そういう中で、こうした和牛のオリンピックを通じて、そうした農家の皆さんをみんなで守り立てていかなければいけないという、そういう趣旨の話をされていました。まさに同じことが本県にも当てはまるわけでありまして、そうした困難も乗り越えていくように、それによりまして畜産系や、あるいは園芸系を中心に生産額を伸ばして農家の収益確保ができるように応援をしていきたいと思います。
そういう意味で、お米の主食米がどうしても年間10万トンずつ販売が減っていく、需要が減っていくという中で、飼料用米が脚光を浴びることになります。これはまた先ほどの餌の入手が難しくなったり、高騰してくるということ、それに対する安全保障的な意味も含めまして、飼料用米の重要性というのはこれからしばらく高まってくるというふうに考えられます。この飼料用米につきましては、このたびは837ヘクタール作付がございまして、ここ2年間ぐらいで300ヘクタールぐらい増やしてきているというのが現状であります。非常にコロナで厳しい中、主食用米のレストラン等での消費が減るということも片方で影響しているわけでありますが、飼料用米の作付が急速に本県でも伸びてきています。
これを私ども県政のほうでも5,000円の補填というものを乗せることをJAと合意しまして、そうした対策も今年取った上で、このたびも130ヘクタールをさらに増産ということになったわけであります。個々の農家も頑張っているところでございまして、例えば米子の柳谷ファームさんなどもここ2年間で3倍ほどに増やしておられるわけですね。そういうように、今、米作、米農家のスタイルというのも一つ変わり目に来ているのかもしれません。この辺の言わばテークオフ、次のステージに変わっていく後押しを私たちも安心していただけるように環境づくりを整えてまいりたいと思います。
今、政府のほうでも令和5年度の予算編成が始まっておりますが、その中でもこの飼料用米をはじめとした、そうした転換作物のことが議論されています。それも横にらみしながら、JAさんや、あるいは農家と十分話をした上で、飼料用米の生産が順調にこれから継続できるように我々も新年度予算に向けて検討してまいりたいと思います。
最後に、人口減少時代における地方創生につきましてお尋ねがございました。地方創生の新時代、その扉を開けることはできたのかと、こういうお尋ねでございます。
これにつきまして、斉木議員と言わばずっとこれまで一緒にやってきたわけでありまして、私自身も平成11年に初めてこの鳥取県庁に入庁させていただいたわけです。初期の頃からいろいろ御指導いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
今もお話がございましたけれども、振り返ってみれば1期目、リーマンショックがありましたし、2期目には東日本大震災の影響があり、さらに3期目には中部地震があり、今期は今度は新型コロナということであります。それと同じことをこの議場におられる皆様が経験しているわけでありまして、まさに受難の時代を我々は県議会に集結をしたということでありました。一応の役割を果たしつつあるのかなと思います。それぞれの震災対策、あるいは今回の新型コロナにつきましても、鳥取県のいいところの機動力を生かして動いてきていると思います。
実は、初当選以来、私は鳥取新時代を拓くということを言いながら、そのツールが何かということを私なりにも主張させていただき、御理解をいただいてきました。それはそれまでの県政が自立ということを各方面に求めていたのとは一つ対照的に、自立と連携という、そちらに重点を置かせていただく県政に変えたというのが大きな変化であります。JAとか商工団体とか市町村とか、それぞれ自己完結するという、そういう一つの自治の理想や政治の理想というのはあるのだろうと思うのですが、私は鳥取県のようなところは規模が小さいがゆえに、むしろ絆を結ぶことで我々は成長力を獲得したり、お互いに頑張って、例えば雇用をつくる、農業生産を上げる、あるいは子供たちを育てる、それについてネットワークでやっていったほうがずっといい結果が出るのではないかなというふうに思っておりました。
単純に県政の改革を進めて予算の査定等で切り刻んでいくようなイメージではなくて、むしろやるべき行財政改革は果たしながら、余力をきちんとつくって、そこに各方面の皆様と一緒に手を組むことで局面が変えられないかということでやってきたわけであります。
典型的にはインフラの問題がありました。インフラは若干査定がかかりまして、縮小傾向のところで引き継ぎました。これも初期の頃に議場でも大分御議論いたしましたが、こうやって雇用の1割をこうした業界の方が守ってくださったり、災害時に支えてくださっている、そういうことに対するエチケットとして、公共投資の枠を減らすことはもうしないというふうに申し上げて、現実そのようにさせていただき、それでハイウェー、高速道路が通っていないというのが根本的な鳥取県の厳しいところだったというふうに思っておりました。そういうようなものの改善を果たしたり、現在では80%の供用率というところまで来ているわけであります。こういうことを、例えば先ほどの和牛の生産のことなども含めて展開をしてきたわけでございまして、鳥取の新しい時代というものは我々は引き寄せつつあるのではないかなと思っているわけでございます。一番大切なのは地域において皆さんが生き生きと、厳しい中でも持続可能に守っていけるぞというスタイルをつくることだろうと思います。これが地方自治の基本であり、住民参画の道筋なのだというふうに思います。そういう意味で、例えば尚徳地区におきましては、平成30年に西日本豪雨がありましたとき、裏の山が崩れたわけであります。そのときに別に市が言ったから始めたということではなくて、自主的に避難所を設定して、炊き出しをしたり、周辺の人を呼び出して避難していただいたり、そういうことを動いていただいたわけでございます。
また、環境問題、水質の問題などもあるわけでありますが、浅水代かきをその地区の中でも展開しているわけでありまして、石井をはじめとした成実地区のほうでそういう環境保全型の農業というものに動かれる、そういう先進的なことをされたところであります。
また、公民館等も活用しながら、和みのふるさとづくりというのを進められる、こういうことがそれぞれの地区の中で成熟してきているのではないかなと思うのです。多分、都会にはないことであります。大都市で自分たちのまちを守ろうといっても、そのまちの中に誰がいるかすら分からない、ひょっとすると、遠くのお店などはよく見えていたり、会社の仲間は知っていても、ただ、肝腎の自分たちが大事にしなければコミュニティーを守るという、そこのところがまだ根本的に崩れてきていると、これが現代社会の残念なところではないかと思います。そうではない、このアンチテーゼを鳥取からつくって、それを地域づくりの根本に据えながら、新しい時代を開いていこうという意味で、私たちは全国をリードする端緒をつかんだのではないかと思っています。
議員も先ほど御紹介いただきました、手話パフォーマンス甲子園、このたびも佳子内親王殿下がお見えになりまして盛大に開催をされました。そこに集う、そういうインセンティブが全国の子供たちにあるというのがすばらしいことだと思います。これはひとえにこの議場で皆さんの御理解の下に手話言語条例が成立をしたことに端を発するわけであります。他の自治体ではちゅうちょしていましたし、国ですら手話言語法をつくることがかなわない。なぜなら、やはり話し合ってまとまらないのですね。やはりデモクラシーだとか意思決定、それから、迅速な行動を起こすには、スモールのほうがメリットがあると。スケールメリットよりもスモールメリットがあるのではないか。これを我々は使いながら、最先端の行政というものを展開することができるのではないか。障害者福祉もそうでありますし、また、子育て政策等でも一定の成果を上げたこともございました。こういうようなことをいろいろと先導的にやるということ、言わば地方自治の実験場として、今はまだ見えない時代というものを鳥取から開いていく、そういう新時代というものは我々は日本に対して提供できたのではないかなというふうに思っております。
ただ正直、残念ながら、規模の小さい鳥取県ですから、パワーという面で東京や大阪に勝ることにはならないかもしれませんが、ただ、一人一人の幸せ、一人一人の雇用であったり成長であったり、そういうものを保障することは柔軟に、そして、フレキシブルにできるのではないかと信じております。
まだ、そういう意味で、ある意味、発展途上のコンセプト、取組かと思いますけれども、そういう新時代の扉を開けることまではできたのではないかと思っております。
◯副議長(広谷直樹君)23番斉木議員
◯23番(斉木正一君)答弁いただきましてありがとうございます。
知事が言われるとおり、私は扉がかなり開いて、ほとんど開いたのでなかろうかなと思います。というのは、やはりこの鳥取県というのは昔から多少引っ込み思案のところの県民性がございまして、いいと思っても、なかなか一歩踏み出せないというところがございました。知事がよく言われるのは、私も言われたのですけれども、いいと思ったことはどんどんやればいいんではないですかと知事が言われるのです。本当です。だけれども、みんな県民性として、いいと思ってもちょっとねというところがあるものですから、その扉をしっかりとこれからも開いてもらいたいなという気がいたしております。いい答弁いただきました。ありがとうございます。
再質問をちょっとさせていただきます。
産業廃棄物の最終処分場に関して、本県では平成15年から独自に産業廃棄物処分場税を賦課徴収してきました。排出者に負担を課すことで、県全体で産業廃棄物の発生を抑制するという理念であると同時に、処理施設の設置促進のための基金積立てでもあったわけであります。この産業廃棄物処分場税について、平成29年度の見直しでは、現行制度のまま、今年度末まで5年間延長していますが、来年4月以降の取扱いについて、どのようにお考えであるのか、知事の所見を伺います。
また、この税の使途について規定する産業廃棄物処理施設設置促進条例においては、積み立てた基金から、道路、河川、公園、集会施設のほか、地域住民が処理施設を常に監視できる制度などにも活用することが想定されております。地下水調査の結果、福井水源地や三輪山の清水などへの影響や不安が払拭されたものである上に、処理施設から流れる浸出水については、周辺環境に影響を与えない水準まで処理した上で排出される計画になるものと思います。それでもなお、不安に感じる方のためにも、県として設置促進条例の趣旨を踏まえまして、地域にお住まいの皆さんにも見える形で監視、モニタリングができる体制を構築するなど、対応を考えておかれるべきではないかと思いますが、知事の所見を伺います。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて産業廃棄物につきまして、お尋ねがございました。後段の部分につきましては、生活環境部長のほうから詳細をお答え申し上げたいと思います。
産業廃棄物処分税につきましては、法定外普通税として本県で設置をさせていただいている税であり、これが廃棄物処分場の促進条例と絡んでいるものでございます。これもいろんな議論の中で当時できたものでございますが、現在、そもそも目的である産業廃棄物処分場の設置、そして、それに向けた様々な促進のための措置等も含めまして、いまだまだ、日の目を見ていないものでございますので、これは議会の皆様と協議をしながら延長の手続をする必要があるというふうに考えております。今年度いっぱいで終期を迎えるわけであり、これは我々も事前に今、例えば商工団体であるとか、様々な税の徴収をされるほうの団体ですね、こうした方々の御意見を今、予備的にお伺いをしておりますが、延長については否定的な御意見は今のところ、私のほうは出会っていないわけであります。まだ、目的を達していない以上は、これにつきまして延長をするというのが一つの方針ではないかと考えておりまして、今後議会の手続も実は必要になるのが法定外普通税の仕組みでございまして、関係者の御意見も議会のほうでもお聞きをいただくということをお願いできればと考えております。
それにあわせまして、もともとこの産廃税でありますが、これの目的の一つが周辺の地域におけます振興計画に基づく事業の執行というものの財源になるということであります。これの規模感が、この条例の制定当時、そして産業廃棄物処分場の設置促進条例の当時からしますと、今、想定とは違った状態になってきています。公に管理に関与するような、公的関与の仕組みであったり、かなり大がかりな対策を取るということもございまして、そういう意味でこういう助成の例えば限度額の在り方とか、そうしたものもこの機会に見直す必要があるのかどうかなども含めまして、慎重に検討させていただきたいと思います。私どものほうで検討をして、情勢を見極めた上で、また改めて、議会側のほうに御相談申し上げたいと思います。
この産業廃棄物処分場の設置計画がある周辺のところのモニタリングなど、安心のための措置というのは言をまたないところであろうと思います。生活環境部長のほうから御答弁申し上げますが、議員がおっしゃるように、安全・安心が図られることをまずは第一義として、私どもも審査に当たったり、あるいはセンターのほうの動向をフォローしてまいりたいと思っております。
◯副議長(広谷直樹君)若松生活環境部長
◯生活環境部長(若松紀樹君)住民参画によります監視体制の構築について補足の答弁を申し上げたいと思います。
産業廃棄物最終処分場に関連しました地元の方との協定につきましては、議員がおっしゃいますとおり、産業廃棄物の設置促進条例に基づく協定と、あともう一つ、産業廃棄物設置手続条例、こちらのほうでも協定を締結する規定がございます。設置促進条例のほうで規定します協定の内容につきましては、廃棄物処理場の運営状況の監視でありますとか、当該監視に要する費用の負担、こういったものを協定で締結するように条例で規定しております。またもう一つ、設置手続条例で規定する協定の内容につきましては、生活環境の保全のために必要な事項の内容ということで、いわゆる環境保全協定と言われるものがこれに該当するものでございます。
現在、センターにおきましては、地域住民の方と意見交換を行いながら、これらの2つの協定を1つにまとめた環境保全協定の内容について協議を行っているところでございます。その主な内容としましては、受入れ廃棄物でありますとか、運搬管理のほうとか、チェック体制につきましては安全監視委員会ということで、住民参画の下の監視体制を構築すべく、現在、協議を進められているところでございます。
また、このモニタリング状況につきましては、他県の公共関与の廃棄物の処分場の状況も県でも調べてみました。こうすると、島根でありますとか高知でありますとか、近隣の公共関与の処分場につきましては、どこも環境保全協定中に先ほど申し上げたような住民参画の規定を設けるとともに、そのモニタリング結果についてはホームページ等でも公表されているようでございます。こうしたことを踏まえまして、県としても他県の状況をセンターのほうにお伝えしまして、住民に開かれたモニタリング体制となるよう、設置許可が認められた後には、ぜひそういう体制を構築するように進めてまいりたいと考えております。
◯副議長(広谷直樹君)23番斉木議員
◯23番(斉木正一君)御答弁いただきまして、ありがとうございます。やはり安全・安心というのが地域住民の方の第一番でございますし、これから永劫に長い間稼働するということになると、やはり日々の監視、あるいは安全というのが一番でありますので、特に水の場合は下流に向かって流れるということですので、下のほうの方たちは大変な心配があるということですので、完全な安心できる体制というものは、これは確実にやっていただきたいものと思いますので、よろしくお願いいたします。
地下水調査について、私も7月の結果の説明会を傍聴させていただきました。地層や地質、地下水の流向、流量など、大山山麓や壷瓶山の地下の様子が事細かに見える、非常に精緻で貴重な、見ていて学びにもなる分析結果であると感じました。ぜひ、この結果は子供たちにも分かりやすく解説するような学習素材として展示する、あるいは水文学などの研究者の学術研究にも活用されるような、さらなる研究を促す取組にも展開するなど、今後の活用も検討されてはと思いますが、知事の所見を伺います。
本当に図面を見させてもらったり、3D画面を見させていただきましたけれども、大変な水の流れ、あるいは水の重要性というのが一目で分かる貴重な資料だと私は思います。そういう面で大いに活用していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて、斉木議員のほうからお尋ねがございました。
今回のこの様々な調査結果というものは、これは嶋田先生もおっしゃっておられましたけれども、ほかに類のないような精緻なものだということでございます。そういう意味で、議員のほうからこの成果を、例えば子供たちにも大山の水の豊かさを知ってもらうことなど、いろいろと見てもらえるいい機会になるのではないかということでございましたので、ぜひちょっとやり方を工夫させていただきたいなというふうに思います。
実は今、日本地下水学会の現在の会長の徳永先生という、東京大学の先生がいらっしゃいますが、この先生も今回のこの調査をお知りになられまして、非常に精巧なものだというふうに御評価をいただいております。それで、ぜひボーリング後は、掘った、そのボーリングの結果物であるとか、シミュレーションのデータであるだとか、そうしたものを使えるような形でぜひ保存しておいて、残しておいてもらいたいと。それで、いずれ学生を連れて研究に、こちらの鳥取県のほうにも訪れてみたいと、こういうようなお話をおっしゃっていたというふうに伝え聞いたところでございます。やはりそれほどまでに実は、これほど時間と支援をかけてやった調査というのは、世界的にもあまり例があるものではありませんので、午前中の話にもありましたけれども、例えば笠良原のほうでは6層に分かれて水が流れている、実は淀江の辺りも3層に分かれて実は水が流れている、そういうものの中から地表に出てくる水があったり、地下を流れているものがあって、それが豊かな大山の水というものを実は体現しているということなわけであります。これが長年の降雪、降雨によりまして、地中にたまったものが大山の恵みとして、これは例えば農地に役立てられたり、飲み水になったりというようなことがいろいろあるのだという、一つの大きなモデルが示せるわけですね。大山さんのおかげという言葉がありますが、大山さんのおかげで私たちは暮らすことができるということを改めて、水、地下水ということを通して知ることができる材料ではないかと思います。そういう意味でそれぞれ、実際に要請もありましたので、どこに保存するかどうか、いろいろと考えてみなければいけませんけれども、現場に近いところでもこうした研究の成果が分かるような形を今後ぜひ検討させていただきたいと思います。
◯副議長(広谷直樹君)23番斉木議員
◯23番(斉木正一君)飼料用米について御答弁いただきました。食用米から飼料用米に転換し増産していくためには、今ある農機具や設備をそのまま転用すればいいのですけれども、多収量を目指す飼料用米専用ということ考えるのであれば、やはり飼料用米は量を取らなければなりませんので、そうすると、今、普通の主食用米を転用して、飼料用米をやっているのが多いのですけれども、多収米専用になると、機械がやはり合わないということでして、我々も農家の方に聞いてみるのですけれども、今のコンバインで刈れないかなというと、やはり本式の飼料用米ということになると、とても茎が硬くて、今のコンバインで壊れてしまうというようなことでして、やはりそうなると必ず専用の機械、そしてまた、収穫した後は、今度は同じカントリーエレベーターに入りませんので、別の飼料用米を入れる保管庫が要るというようなことで、いよいよ飼料用米でやろうかといっても、すぐすぐその体制ができない、非常に費用がかかるということなのです。飼料用米の需要が確保できても、経営が成り立つ見込みが立てればいいのですけれども、先行きの見通せない状況を踏まえれば、完全に飼料用米に転換することに及び腰になる生産農家の気持ちもよく分かるわけです。
生産農家が立たされた状況を踏まえて、新たな設備投資への支援を含め、県としてどのような対応が考えられるのか、御答弁をお願いいたします。